経営危機相談の実際について
決算書がないこともあって
ここにあるような細部にわたるリアルな相談はできません。
ここでは、経営相談における具体的なコンサルティング内容について、まとめております。
これらの内容について、通常は【面談】の初回2~3時間で行います。
【オンライン事前相談(無償)】では、決算書がないこともあってここにあるような細部にわたるリアルな相談はできません。
その【オンライン事前相談(無償)】で信頼関係が築けた場合の【面談】の事例です。
(判断材料となる資料が不足している場合や、複雑な事案の場合は、複数回経営相談が必要になる場合もあります)
経営危機の実情と対応方針の方向性を確認CURRENT SITUATION POLICY CONFIRMATION
経営危機の対応策を発見するためには、
その会社の経営危機の実情を知ることが不可欠です。
まずは、経営危機の実情と対応方針の方向性を確認します。
- どのような経営危機に見舞われているか(経営危機の実情)
- どのように対応しようとしているか(対応方針の方向性)
うまく説明できない方も多いものです。
そこで、具体的にヒアリングが始まります。
すでに方針が決まっている(選択の余地のないケースも多いものです)場合は、
以下のプロセスが省略(カット)される場合もあります。
経営危機の実情把握UNDERSTANDING OF THE CURRENT SITUATION

シクミ
- どのような事業モデルなのか
- その事業の(会社の)将来性(産業としての将来性、会社としての将来性)
- 事業継続が可能な状態か(ヒトとカネの状態は)
相談に来られる方の多くはこの事業モデルが崩壊していて、利益が出せないでいます。

ヒト
- ヒトが原因で経営危機に陥ったか(経営危機の直接原因)
- 人材に問題はないか(確保、安定性)
- 労働問題は発生していないか(従業員とのトラブル、労働問題 )
このごろは人材確保が難しく、労働問題で経営者が意欲を失うことも多いものです。

カネ
- 会社の財務状態(借入未払いと財産)
- 金融機関はちゃんと対応しているか(金融機関問題)
- その会社の資金繰り状態(支払資金はあるか、差押えの可能性はあるか)
経営危機相談にいらっしゃる方の最も多くがこのカネの問題を抱えていらっしゃいます。

経営者個人の実情
- 経営者の会社の債務の連帯保証状況
- 経営者の財務状態(個人の財産状態)
- さらには、経営者の経営意欲(衰えてはいないか)
これらすべてを、初対面で把握することはとても難しいです。
何とか人間関係を築きながらヒアリングすることになります。
メッセージ
「わたしは倒産経験者で、なにも手を打つことなく倒産したので、ひどい目にあいました」
「倒産処理の実情を知ることで、不利益を少なくすることができることを知りました」
「わたしは、あなた(依頼人)以上にあなたの利益を最大化するためにここにいます」
「あなたより欲張りかもしれません」
「非合法のことはできませんが、グレーゾーンは最大限活用します」
「手伝っていただける弁護士も確保することはできます」
などの言葉は、ほとんど場合最初に申し上げる言葉です。これらの言葉をはさみながら、その会社の実情を知るようにしています。
持参いただいた決算報告書を拝見しながら、いくつもの質問をしながら実情を把握していきます。
中には決算報告書の見方をよくご存じない経営者もいて、自身の会社の財務状態が判らなくなっている方も多いものです。
これらの把握は、初対面ではなかなか難しいこともあると感じています。
対応方針の確認POLICY CONFIRMATION

- 事業継続するか(できるか)?
- 倒産処理をするか?
の判断です。
わたしはその可能性(選択肢)を示すようにしています。
つまり、この(経営危機の)状態で事業を進めていくとどのような事態に陥るか、それを回避するためにはどのような方法があり得るのか。
事業継続(会社も維持)の場合
- 任意整理(債権者と話し合って事業継続)の道を目指す
- 民事再生法の適用申請
倒産の場合
- 法人の破産(少額管財)
- 任意整理による処理
- 放置逃亡
それらの可能性。一般的なメリットとデメリットの説明。
一定の資金があれば事業継続できる場合があるケースもありますが、経営危機に陥っている会社に新たに資金調達を求めることは、わたしの場合はほとんどありません。
すなわち、事業継続ができないケースがほとんどです。
そしてそのそれぞれを選択した場合のメリットとデメリットについてお話します。
最初から[倒産]の意志を決めていらっしゃる場合でも、その選択肢はお話しすることを原則としています。
この段階は、依頼人の方に選択していただくことを基本にしています。わたしから押し付けることはありません。
事業だけを継続(会社は破綻処理)
営業利益が確保できていて、事業の将来性に可能性が見える場合には、このような手法があることを説明します。
多くの場合、(債務過多の)会社は倒産処理をして、事業を第二会社などの何らかの方法で継承させる手法です。
この手法はいくつかの条件(それが備わっていなければ実現は難しくなる)があります。
ただし、もちろん、求められれば、わたしの推奨する方法論についてもお話しします。
この段階を弁護士に相談すると、
- 依頼人の利益を最優先はしてくれない
- 丁寧な説明はしていただけない
- [法人の破産]を進められるだけ
- [少額管財]の相談にも応じていただけない
- 高額な委任費用を告げられる
- グレーゾーンには踏み込んではいただけない
ということになることが多いものです。
選択された具体的な方法についての解説CONCRETE METHOD
※以下、一番多い法的処理である[法人の破産]の場合について記します。
避けられない倒産になるとどういうことが起こるかを説明します。
倒産処理の原則
倒産とは、[債権者を残して事業継続ができなくなる(事業を停止する)こと]です。
その倒産は、どのような処理にせよ、
- 会社の財産をすべて換金し、一般債権の配当に充てる。
- 優先債権(税金、社会保険、労働債権)は一般債権より優先される。
- 金融債務の、(根)抵当権、連帯保証分は別除権として、優先債権とは別に処理される。
- 倒産直前に特定債権者に返済や支払いをしてはならない。
- それをすると、偏頗弁済として破産管財人から詐害行為取消権の対象になり得る。
さらに、
- 当事者(経営者)は、当事者の力がなくなっているので代理人に委任する。
- 代理人は、代理権のある弁護士でなければなれない。
- わたしは依頼人の利益を守る相談相手になる。
などという原則があることを伝えます。
代表者の連帯債務、財産の確認
代表者の連帯債務、個人の債務と財産の確認について
小規模零細企業の代表者は、ほとんどが会社の債務の連帯保証を何らかの形でしています。
それがどうなるかは、代表者が倒産という事態を通り過ぎた場合に大きな問題になりかねません。
- 会社の債務の連帯保証分の確認
- 個人の不動産などの(根)抵当権がどうなるかの確認
- 第三者の連帯保証がある分については、それがどうなるかの確認
- 個人の債務と財産の確認
- 税金
- 生命保険など
- 個人的な債務(借金など)
- 個人的なローン
- 不動産
- 車
- 書画骨董、高価な着物など
- それらがどうなるか
- どうすれば守れるか
これらは、じっくりヒアリングして全体像との兼ね合いがわからなければ、救済の方途は見えてきません。
財産一覧の作成
この段階から[Xデー]に至るまでの会社の財産の一覧の作成をお願いする。
この段階では、現預金をはじめ換金可能な財産を網羅することはほとんど不可能だが、[Xデー]までには必ずやらなければなりません。
(法人の)破産申立書の作成
この申立書は申立て代理人の弁護士の仕事だが、依頼人の協力がなければできるわけもない。
どのような資料が必要かは説明しておきます。
倒産処理の具体的な方法の確認
負債総額別の予納金が必要になる[管財事件]を選ぶか、20万円+α(数万円)の予納金で済む[少額管財]を選定する。
管財事件では、最低ランクである会社の負債総額5,000万円未満の管財事件の予納金は、[法人=70万円]、[代表者=50万円]、合計120万円になるが、[少額管財(法人と代表者ワンセットで)=20万円]になる。
その上のランクは、会社の負債総額1億円未満の管財事件の予納金は、[法人=100万円]、[代表者=80万円]、合計180万円だが、これも、[少額管財(法人と代表者ワンセットで)=20万円]になる。
ここでは、[少額管財]の可能性を可能な限り追求することになります。
費用の確認
法人の破産に関する費用は以下のものがある。
- 予納金(原則としては少額管財の予納金=20万円+α)
- 申立て代理人の弁護士費用(少額管財を実現するためにはやや割高になる)
- 当事務所の費用
それらについて確認しておきます。
優先債権と別除権の説明
倒産に際しては優先債権があります。
- 税金
- 社会保険
- 労働債権(給与、退職金、解雇手当)
それらをどうするか。
また、金融機関からの債務のほとんどには、(根)抵当権、連帯保証人などが設定されているので、それら別除権がどうなるか。どうするか。
債権者一覧の作成
事業を止める[Xデー]段階での債権者の一覧の作成をお願いする。
この段階で予測できるおおよその債権者の全体像をうかがう。
ほとんどの依頼人はこの段階ではおおよその全体像も把握していないことが多いものです。
“Xデー”の確認
仮にであっても[Xデー]を設定しなければこのあとの準備が進みません。
ここで言う[Xデー]は事業を止め、弁護士が債権者に介入通知を出す日のことです(例外もあります)。
早い場合は翌日、長い時は数か月後という場合もありえる。
- 会社の最も多く資金のある日(入金の後、支払いの前)
- 税金や社会保険などの優先債権の前に労働債権分の資金がを確保できるか
税金や社会保険は優先債権ではありますが、支払うかどうか(支払えるかどうか)は重要な判断になります。
[Xデー]すわわち、代理人が決まって弁護士から債権者に介入通知がいくとどうなるか
- 債権者からの連絡は弁護士に行く
- 債権者は、当事者には直接連絡が取れなくなる
- 当事者はここに至って一切の督促から解放される
- 代理人の弁護士は、その会社(個人も)の代表者として対応することになる
などのじたいになることを説明します。
個別の問題点の確認
[Xデー]までどれほどの期間があるかによって変わりますが、依頼人には個別の問題を必ず抱えているので、Xデーまでにしなければならないことを確認し、その対応方法を説明します。
- 支払いたいところがあるか(連鎖倒産は回避)
- 返済したいところはあるか
- それらが偏頗弁済にならない方法はあるか
- 金融機関には返済するか
- 倒産後の資金は確保できるか
- 連帯保証人の救済
- 所有不動産がどうなるか
- 所有不動産の買い戻し方
- (資金繰り表をつくったうえで)支払うところと支払わないところを決める。
- クレジットカードの扱いをどうするか
- 会社の税金と社会保険をどうするか
- 会社と個人の生命保険をどうするか
など、など、
これらは、依頼人の債権債務環境がによって、千差万別です。
具体的には相談にいらっしゃった段階でお話しします。
次のステップの説明NEXT STEP
次のステップでは弁護士の確保が必要になります。
要請があれば、倒産関係に熟達した弁護士を確保することになります。
場合によっては、次のステップは申立て代理人の弁護士を含めての打合せになります。
その具体的な調整になる場合もあります。
このところ相談依頼が増えてきていますが、まだ時間的余裕はあります。
当事務所は、1000件以上の相談実績があり、かつ倒産経験もある”経営危機”コンサルタントです。
よりよい解決策を見出すお手伝いができると思います。
参考-今までの具体的な相談REFERENCE

当事務所には、以下のような具体的な[経営相談]がありました。
- 「会社をやめたい。経営者として個人の財産がどのようになるのか?それが知りたい」
- 「会社の役員に連帯保証人をしてもらっているが、どのような影響があるか?」
- 「息子の友人から借入がある。それは優先的に返済できるか?」
- 「現在進行中の受注業務があるが、それがどうなるのか?」
- 「会社を清算したい。出来るかどうかシミュレーションして欲しい」
- 「倒産も破産も覚悟している。しかし、娘のピアノを守ってあげたいが、果たしてそれはできるか?」
- 「雇用保険をここ数年払っていない。社員の退職金は確保できるのか?」
- 「妻とその父が連帯保証をしている。長期にわたっては返せるが、一括返済は苦しい。交渉できるか?」
- 「会社は債務で死に体だが、事業は順調だ。何とか、事業だけ切り離せないか?」
- 「会社の税金の未払いがかなりある。これは代表者個人としてかぶることになるのか?」
- 「特許などの知的権利をいくつか持っているが、これは守れるのか?」
- 「個人財産のひとつに、相続を受けた兄弟で持っているアパートがあるが、この権利はどうなるか?」
- 「今月不渡りが出るのは避けられない。来月振込入金がたくさんあるが、それは会社で使えるのか?」
- 「来月暮らす生活費は持っていてもいいのか?」
- 「クルマは使い続けたいのだが、それは可能か?」
などなど。