法人の破産
2021年08月01日

法人の破産・管財事件とは <一> 費用

倒産の法的処理の意思を固め、弁護士に相談に行くとほとんどの場合[予納金]を告げられることになる。
この予納金は、[管財事件]と呼ばれる運用方法であり、負債総額によって定められている。
負債総額は財産との差し引きではなく、単純に負債の総額であるので、間違えないように。

◆東京地裁の予納金額(自然人とは個人のことである)
負債総額5,000万未満・・・・法人70万円、 自然人50万円
負債総額5,000~1億未満・・法人100万円、自然人80万円
負債総額1~5億未満・・・・ 法人200万円、自然人150万円
負債総額5~10億未満・・・・法人300万円、自然人250万円
負債総額10~50億未満 ・・・400万円(法人、自然人とも)
負債総額50~100億未満 ・・ 500万円(法人、自然人とも)
負債総額100億以上 ・・・・ 700万円(法人、自然人とも)

予納金の金額は、調べると必ず〝東京地裁での金額〝などと出ているように、実は全国一律ではないのだ。
すなわち〝破産処理は地方裁判所の裁量で処理する〝もののようなので、この予納金も絶対的な金額ではないようだ(地裁と交渉するとまけてくれることもあるという弁護士もいた)。

法人と経営者(中小零細企業の経営者はほとんどの場合、会社の債務の連帯保証をさせられているので個人(上の表記の[自然人])の破産も避けられない)の両方の場合は、上の[法人+自然人]の合計となってしまう。

◆法人の破産には[少額管財]という運用方法がある。

その場合の予納金は、負債総額にかかわらず法人と法人の代表者一人のセット(上記の[法人+自然人]の合計)で20万円となっている(東京地裁の場合。さらに諸雑費が二~三万円必要になるが)。

この[20万円]はこのところ少し高騰化している(と言っても、難易度によって+10~30万円ほど)。
もちろん、少額管財が適用されるためには、いくつかのハードルはある。
この少額管財については、詳しくは[法人の破産(少額管財)]を参照されたい。

小規模零細企業の場合には、[少額管財]の運用方法を採用していただくことが最も望ましいのだが、現実にはなかなかそうはいかないことが多い。
具体的には申立て代理人の弁護士に[申立て前処理]をしていただくことが採用の前提になる。

※少額管財を実現するためには[少額管財を実現するための要件]を参照されたい。

※[申立て前処理]について、詳しくは[申立て前処理について]参照。

にもかかわらず、それができずに多額の予納金を前に法人の破産ができずに〝放置・逃亡〝がたくさん起きている。

それは、ひとえに対応する申立て代理人の弁護士次第になっているのが現状なのである。申立て代理人の弁護士が、[少額管財]が適用されるような[申立て前処理]をしてくれるかどうか、なのである。
しかし、現実には〝役立たずの弁護士〝は多いものだ。

倒産処理の相談に弁護士事務所を訪れて、[少額管財]の適用が認められなかったような時は、ぜひ当事務所に相談していただきたい。
わたしは放置逃亡だけはどうしても避けていただきたい、と願っているのだ。

よく「予納金もないから倒産できない」、あるいは「予納金がないから放置逃亡しか道がない」という言い方を聞くが、果たしてそうだろうか。

倒産すべきときに倒産しないとその後の事業維持には膨大な費用がかかるし、放置逃亡を選んだ場合にはこれまたその後の生き方に膨大な費用がかかるだけでなく、再起には途方もない時間と費用がかかる。
ここは死にもの狂いで費用を確保しなければ、その後の人生を台無しにしてしまう、とわたしとしては忠告せざるを得ない。

※倒産の費用(弁護士費用)については、[倒産の費用(弁護士費用)]こちらを参照ください。

※弁護士の紹介については、[弁護士(申立て代理人)の紹介]こちらを参照ください。

※ このエントリーは、「倒産処理(法人の破産)の予納金」というタイトルで2012.12.23.に作成したものと、「倒産の費用(予納金)」というタイトルで2013年9月19日に作成したものが重複するところもあったため、より判りやすくするためにタイトルも改め、2014年4月2日に統一的に修正した。

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