倒産の実態
2020年11月09日

電話での経営相談は、かえって遠回り

経営危機コンサルタント・内藤明亜のブログです。

当事務所のホームページをご覧になった経営者からよく「内藤さんに電話相談をお願いしたいのですが」というご要望をいただきます。

残念ながら当事務所では経営危機コンサルタントによる、初対面の方むけの電話相談には対応しておりません。
しかし、【無料 倒産・経営危機電話相談】を設けております。
これは、専任の相談員が、経営者の不安な気持ちを受けとめ、倒産に関するさまざまなご質問に<無料・匿名>で対応していますのでご利用ください。

倒産処理の疑問に、電話でお答えするのは難しい


倒産処理に関して、経営者がたくさんの疑問を抱くのは当たり前です。
不明な点を確認して、早く安心したい気持ちもわかります。
わたしには倒産経験がありますから、こうした気持ちは痛いほど理解できます。

しかし、個別の質問に電話で正しく答えるのは至難のわざなのです。
なぜなら、倒産処理は【100の倒産があれば、100の解決がある】ものなので、個別の問題の解決方法はさまざまな要因がからまりあって決まっていくからです。

倒産処理のご相談は決算書を拝見しながらの対面面談でこそ、有用な答えが得られる


ですから、メールなどを駆使しながらいくら時間をかけて電話相談を行ったとしても、[決算書]を拝見しながらの対面面談にまさるものはありません。

次善の策として、Skypeなどによる「オンライン相談」にも対応していますが、それにしても[決算書]を拝見しなければできるものではないのです。

倒産問題に関しては、ネット上にさまざまな不確かな情報があふれています(それは有害な情報がほとんど)。

経営者はそうした不確かなさまざまな情報に触れることで、さらに多くの疑問を抱えることになります。
「では自社の場合、自分の場合はどうなのか?」と。

しかしそれらを電話で解消することは難しいことをご理解いただきたいのです。

が、倒産に関する一般的な疑問への回答はこのホームページの中に必ずありますので、「キーワード検索機能」を使うなどして探していただくか、冒頭に挙げた【無料 倒産・経営危機電話相談】をご利用の上、解決していただければと思います。

遠回りに思えるでしょうが、一度、対面面談に来ていただいた方が、経営者の疑問にお答えするのには近道ですし、電話相談よりもはるかに有用な回答が得られると思ってください。

*もちろん一度、対面面談にお越しいただいた方であれば状況が分かりますので、その後の電話相談に対応いたします(1時間単位、11,000円税込み、メールや電話で事前にお申込みください)。

「自宅不動産は残せますか?」という質問を例にとると


具体的な例を挙げてご説明しましょう。
例えば、実際の倒産相談の場ではこんなご質問がよくあります。

「倒産すると、自宅不動産はどうなるのですか?どうしたら残せますか?」

このご質問に回答するには、実は下記のようないくつかの前提を確認しなければなりません。

・その不動産は、経営者を含む連帯保証人名義のものですか?
・その不動産の購入時期と購入金額は?
・その不動産の住宅ローン会社はどこですか?
・その不動産に住宅ローンはいくら残っていますか?
・その不動産に抵当権あるいは根抵当権はついていますか?
・(根)抵当権がついているとしたらどの金融機関で設定金額はいくらですか?
・(根)抵当権での借入残高はどのくらいですか?
・その借入金融機関に、返済遅延などはありますか?
・最新の登記簿謄本はお持ちですか?

これらの前提が判明してはじめて、住宅ローンあるいは(根)抵当権の権利者がどう対応するであろうか、つまり「任意売却にするか、競売にするか」について推測できるのです。

「いつまで住み続けられますか?」という質問に対しては


さらに、「自宅不動産を残せますか?」という質問の次に、以下の質問をされる方が多いです。

「自宅不動産には、いつまで住み続けられますか?」

このご質問に対しては、抵当権者であの金融機関によって対応が異なりますので、その金融機関を確認したうえで、

・「半年くらい」
・「一年くらい」
・あるいは「三年は大丈夫でしょう」

などとお答えすることになります。

「自宅不動産を、買い戻すことはできますか?」という質問に対しては


さらによくあるのが「買い戻すことはできますか?」というご質問ですが、これに対しては、以下についての確認が必要になります。

・自宅周辺は、不動産がよく売買される地域ですか?
・その場合、どの程度の価格で取引されていますか?
・資金の提供者はいますか?いる場合どのような方ですか?
・どの程度の資金が用意できますか?

それらが判明してから、「任意売却」か「競売になる」可能性を推し量りつつ、

「任意売却で買い戻す方法は…」
「競売になった場合の買い戻し方は…」

とお答えすることになります。

具体的には、権利者が金融機関の場合、その不動産の所有者が買い戻したいと言っても売却に応じない場合が多く、誰が買い取るならそれに応じるか、その場合の手続きや税金はどうなるか、などのご説明が必要になってきます。

倒産処理に関してよくあるご質問


このような自宅不動産の質問は一例ですが、これ以外にも下記のようなご質問を多くいただきます。

・売掛金の回収はできますか?
・倒産の処理費用はいくらかかりますか?
・○○は、詐害行為にはならないでしょうか?
・○○したら、偏頗弁済になってしまうのでしょうか?
・確実に免責になるのでしょうか?
・倒産後の生活はどうなるのでしょうか? などなど

特に、[計画倒産 ][ 詐害行為 ][ 偏頗弁済 ]に関連するご質問は大変多いのですが、これらの質問にも簡単には答えられません。

今までお話してきたように、多くの事項を確認した上での判断が必要だからです。

もちろん、対面面談にてさまざまな前提を確認しながらお答えすれば納得していただけるものなのですが、電話相談ではそれが難しいことをどうかご理解ください。

初回オンライン面談には対応いたします


とはいうものの、新型コロナウイルス感染症下においては、オンラインによるご相談に力を入れていくことになりました。(その場合は、ご相談お申込み時に「オンライン」とご指定ください)

わたしが今まで対応したケースでは、

・店舗や事業所をリースバックなどの手法で確保して、倒産後も事業が継続できたケース
・偏頗弁済に抵触しそうだったが、抵触することなくクリアできたケース
・事前に相談した弁護士に「詐害行為」であると指摘されていたが、クリアできたケース
・倒産後、時効までの間をうまく過ごしきったケース
・数千万円の再起費用を確保してから、倒産処理を終わらせたケース

などを、合法的に実現できた方がたくさんいらっしゃいます。

これらは、大変綿密な計画を立てて実現しなければならないのですが、決して不可能なことではありません。
また、破産申立て代理人の弁護士の紹介を希望される場合は、上に述べたような配慮ができる弁護士の先生にお願いするようにしています。
(が、そのような弁護士は、圧倒的に少ないのも事実です)

どうかご理解の上、対面面談(あるいはオンライン面談)に臨んでいただければと思います。

(初出:2013年9月2日、最終修正:2021年2月4日)


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