倒産に直面している
2018年01月14日

【はれのひ】問題を考える ① 【はれのひ】は倒産したのか

経営危機コンサルタントのわたしに、【はれのひ】を擁護する意図は全くない。

わたしの企図はこの素材で、事業経営の問題点、危機管理、破綻処理(倒産処理)、 倒産犯罪などについて理解を深めていただきたいのだ。

*【はれのひ】問題を考える ② 【はれのひ】が破産申立てをした


 【はれのひ】問題を考える ③ 【はれのひ】はなぜ倒産したのか

【はれのひ】は倒産したのか

倒産の定義にしたがえば、【はれのひ】は倒産している、と言える。

倒産の定義とは、

【債務超過】会社の財産より会社の負債が多い状態。
【資金不足】会社が支払うべき金額より、資金が少ない状態。
【事業の継続ができなくなった状態】債権者に責められて事業ができなくなる状態。

を指す。

一般的な会社であれば、瞬間的な債務超過や資金不足は日常的にあり得るものだ。
それらは債権者との交渉や資金調達でしのげるが、この三つが勢ぞろいすると事業の継続は不能になる。

倒産の最後のトリガーは“資金不足”だ。

資金がないために債権者に支払いができなくなる。
そして債権者に支払いや返済を求められる。
しかし支払える資金がなく、事業が継続できなくなる。

この状態が倒産だ。
よって【はれのひ】は倒産状態と言える。

倒産に決められた手続きはあるのか

倒産したらどこかに届けなければならない、という厳密な決まりはない。
倒産したら(事業が継続できなくなったら) 法務局に商業登記の抹消と、税務署に廃業届けが必要となってはいるが、倒産して会社がなくなってしまえば、届けるべき主体がなくなってしまうので、実際は誰も届けることはないものだ。

【はれのひ】がそのまま決算もせずに未処理であれば、“休眠状態”とみなされる。
本来会社を休眠させるためには、税務署、都道府県税事務所、市区町村役場に異動届出書(俗に休眠届、休業届と言われるもの)を提出する必要があるものだが、【はれのひ】はそれらを提出していないので、現段階は経営状態は倒産だが、処理をしていないので休眠状態にあると言える。

【はれのひ】は倒産処理をしないのか

実際に[倒産]で[休眠]とみなしうる状態の【はれのひ】。

この段階は、経営者は債務を解消できない(支払えない)ので、当事者能力がなくなっている。
よって経営者が解決することはできないので、一般的には弁護士を代理人に立てることになる(代理権が認められているのは弁護士だけだから)。

【はれのひ】はその代理人を立てていないのだから、倒産処理をしようとしないと思われているが、その可能性もあるが、一概にそうとは言い切れないきわめて微妙な問題をはらんでいるのだ。

ここからは類推も交じってしまうのだが、【はれのひ】の経営者は弁護士を訪ねたのではないか。
これほどの大きな事件になることが判っていなかったとは思えない。

その弁護士に「これは到底処理できないから受任できない」「ここまで切迫しているのは放置逃亡しかない」と拒否されたのではないか、と思われるのだ。

なぜそう思うかというと、そのような経緯を経てわたしのところに相談にいらっしゃった方が今まで何人もいたからだ。
「弁護士は助けてくれない。逃げろと言った」

弁護士にとって倒産処理を委任されるということは、単なるジョブであることが多い。
いただける費用とやるべき仕事が釣り合っていなければ受けたくないと判断しても、それは不思議ではない。

申し立て代理人の弁護士の作業領域は

この【はれのひ】の倒産処理を弁護士が受任するとどのような作業が待っているのか。

・まず【はれのひ】の預金口座などの財産を管理する。
・債権者リストを作成し、それらの債権者に[弁護士介入]の連絡をする。
・債権者からの問い合わせにはすべて対応する。
・債権調査を行い、債権の全貌を把握する。
・会社のした契約のすべてを解除する。融資、雇用、リース、賃借、など。

・マスコミ対象の記者会見は必要になる。
・給与などの労働債権があれば優先的に対応する。
・社員に対しての説明会も必要になる。
・(根)抵当権などを設定している債権者である金融機関と対応する。
・優先債権の税務署や社会保険事務所と対応する。
・債権者一覧ができたら[破産申立書]を作成する。
・地裁に[破産申立書]に[予納金]を添えて法人の破産の申立てをする。
・代表者個人の破産もせざるを得ないのであればその手続きもする。
・地裁に任命された破産管財人と対応する。
・などなど

申立て代理人の弁護士は、その会社の代表者の代理人として、その会社の代表者がやるべきことをすべてやることになる。

倒産処理は債権者の質量によって作業量は著しく変動する。
この【はれのひ】の申立て代理人の作業は膨大だ。
弁護士の受任費用と予納金がなければ弁護士は受けられないだろう。

先に弁護士に断られたのではないか、と書いたのはこのような作業ができない弁護士に相談に行ったとしたら、そうなることもあり得ると思ったからだ。
あるいは膨大な弁護士費用を告げられて断念したかもしれない。

もうひとつ考えられることは、当事者が弁護士に「財産を確保したい」と希望した可能性もある。
倒産直前に会社の財産を経営者がわたくしすることは、[詐害行為]として認められることではない。

それを聞いて、弁護士が受任できない、といった可能性もある。
それはできない相談だからだ。
これらは、あくまでもわたしの憶測である。

※ この【はれのひ】の倒産は【てるみくらぶ】の倒産および逮捕の件と併せて、問い合わせも多いことから断続的に解説的な連載をする予定です。

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