倒産の実態
2021年08月01日

放置逃亡が、なくならない

放置逃亡、なにが悪い、と開き直るパターンがなかなか、なくならない。

[放置逃亡]はこちらを参照。

わたしは800件以上の倒産に関する相談に応じているが、誠実な経営者ほど贖罪意識にさいなまれることが多いので、

・倒産自体は決して犯罪ではない

と説明するようにしている。

また最後の最後まで頑張ってしまって倒産の処理費用がないという方も多いので、

・費用をかけて倒産処理をしなくても、それだけでは犯罪にはならない

と話すことがある。

しかし、そのことは放置逃亡を認めているわけでもなければ、「放置逃亡、なにが悪い」と開き直ることを勧めているわけでも決してない。

わたしの思いとしては、[倒産は犯罪(-もしくは倒産は犯罪に等しい-)]という負い目を、少しでも軽減したくて言っていることなのだが、正しく解釈されていないものかなぁ、と思うこともある。

倒産そのものは犯罪ではないとしても、

・倒産とは、商取引上では約束が守れなかったこと

それは消えることはない事実なのだ。
そのことは、意図してやったことではなければ犯罪ではない(意図してやればそれは明らかに詐欺になる)が、人として胸の張れることでは決してない。

倒産した経営者は立ち止まって、債権者に対して認めていただけるような倒産処理をすべきなのである。
方法としては、
[法的処理(法人の破産)]

[任意整理(私的整理)]
さらに、[もっとも安価な倒産処理]も参照。
である。

それをすることで、倒産社長は自分自身をリセットすることができるのだ。
経済的にも精神的にもリセットすることができるからこそ、胸は張れなくても下を向かないでいられるような再起もできるのだ。
それをしなければ、倒産社長はかなり長い間(…おそらくは、一生)贖罪意識から解放させることはないのだから。

そのために倒産後に精神的な安定が得られずに苦しんでいる経営者を、わたしは何人も知っている。
再起ということを意識するならば、必ず立ち止まって処理をしていただきたい、と心から願っている。

そうしない場合に起こる最大のリスクは、時効だ。
会社の債務の時効は一般的には五年(十年の場合もある)。

その間、債権者からの督促や財産の差押えの恐怖と戦わなければならないのだ。
五年は長い。十年はもっと長い。
[倒産ー放置逃亡ー時効]

さらに、経営者にとって倒産は債権者だけが問題なのではなく、

・家族問題なども重くのしかかってくる

倒産を、立ち止まって処理しないと、家族にとっても大きな問題を抱えることになるのだ。

お子さんが小さいときは、

・同じところに住み続けられない
・住民票が移せない(転校できない)

理由は、債権者から督促が来るようになるからだ。
倒産の事実を家族に正確に話せないと、家族間に亀裂が起きることは火を見るより明らかだ。

そうした面からも、「放置逃亡、なにが悪い」と開き直ることなく、立ち止まって処理していただきたいと切に思う。

放置逃亡がなくならない最大の理由は、[費用]だろう。
少額管財の予納金と弁護士費用をあわせると、[150~200万円]はかかると思う。

では、初期段階で最低いくら費用を用意したらいいのか。

●予納金(少額管財)  23万円 裁判所に払う費用(概算)。多少の変動はある。
●弁護士費用(着手金)   5~20万円
●当事務所費用(着手金)  5~10万円

弁護士費用は案件によって幅があるが、長期の延払いにしていただける弁護士に委任することになる。
わたしはこれを死にもの狂いで用意した方がいい、と申上げてきた。
その理由は、[再起]のためである。
どうか、この言葉を真正面から受け止めていただきたい。

この放置逃亡については[放置逃亡するとどうなるか]も参照ください。

以下の項目も参照されたい。
[倒産処理を甘く見るな]
[倒産ー放置逃亡ー時効]
[倒産の判断はいつするのか①(倒産時の二つの様相)]

※弁護士費用や裁判所費用などの点で不安がある方は、どうかいちど当事務所を訪ねていただきたい。

※このエントリーは2013年10月7日に作成したものだが、より判りやすくするために2017年12月20日に三度目の修正をした。

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