倒産の実態
2023年01月15日

経営危機相談のハードル

当事務所に相談にいらっしゃる方は、一様に
・相談に来るには相当の勇気を要した。
・相談に来るためのハードルがとても高い。
とおっしゃる。

中には
・相談に来るためには三年かかった。
・一年間、毎日のように著作を読んでいた。
・ホームページやブログを何回も読み直したうえで、ようやく相談に来られた。
とおっしゃる方もいる。

先の「経営危機コンサルタントの費用」でも書いたように、相談のための【事前相談】以外は、基本的には“有償”である。
また、よくある経営コンサルタントのように、依頼人に迎合したり、おもねることもない。
それは、経営危機の相談は冷徹に判断しなければならないことが多いことと、大きな曲り角を曲がるために大きなエネルギーを要するからで、それなりの準備をしていただきたいからだ。

そのわたしの思いが、著作やホームページやブログに漂っているために、ハードルを高くしていると思われるのだろう、と指摘されたことがある。
わたし自身、そういうメッセージを送っている自覚はある。
強い自覚ではないが、あることはある。

それは、逆説的な言い方だが、決してハードルを下げて誰でも簡単に相談に来られるようにはしていない、イージーな気持ちで問題解決ができるとは思っていただきたくない、という思いはある。

経営危機相談は、その成否が相談者である(主に)経営者の人生(会社の役員、社員、家族、など)を大きく変えることが多いのだ。
倒産は決して“終わり”ではない。単なる“曲がり角”だとわたしはとらえている。

曲ったその先に“希望”が見えなければ、曲ることは苦難の道になるだけだ。
その希望が“大きな希望”になればそれに越したことはないが、“小さな希望”しか示せないこともある。
そのためには、[せめて、半年前に]で、ぎりぎりまで頑張らずに早期に相談に来ていただきたい。

わたし自身の倒産では、文字通り全財産を失い、一家離散の憂き目を見た(その後、財産はともかく家族はまた元に戻ることができたが)。
そうならないために悲惨な経験をしたわたしが(協働者である才藤も)、後に続く人の役に立ちたい“相談者”としているのだと思っている。

わたしの倒産の後、二十五年を経由して千人近くの倒産者と対応し、さまざまな弁護士とも知り合った。
その間にさまざまなノウハウを蓄積してきたのだ。
わたしは“相談者”に過ぎない(弁護士法がある以上、代理人にはなれない)が、代理人である申立て代理人の弁護士に精一杯働いていただけるようなフォローはできるようになった。

一回の経営危機相談には、常に最大三時間とってあるが、おおむね二時間前後ほどで終わってしまうことが多い。それは疲れてしまうからだ。
依頼人の相談者もわたしも疲労困憊してしまう。
二時間以上、初対面で決算書を拝見しながらシビアな経営危機問題を話し合うというのは、相当な消耗を強いられるものだ。
避けられないことなのだが、第一回の相談はそうなることが多い。

その相談の内容を事前に想像すると、相談者にとってはハードルが高くなることは避けられないだろう。
わたしもそう思う。

しかしすでに述べたことと大いに矛盾するのだが、わたしはもっと気軽に相談に来ていただきたいと思っている。
その理由は、高いハードルの前に躊躇している間に、ほとんどのケースでは経営状態は悪化していくからだ。

経営危機は加速するのだ。思いもよらぬ速さで。
・資金ショートが起こる。
・差押えが来る。
・債権者が押し寄せる。
その前に手を打たなければ、会社の倒産処理もできなくなる。

最初の相談から数年経てまた相談に来られる方も多いのだが、そのほとんどのケースでやはり経営状態は悪化しているものだ。
・債権者の質と量を増やしてしまう。
・手持ち資金が少なくなってしまう。
・再起への準備ができなくなってしまう。
・経営者本人が疲弊してしまう。

この矛盾が解決することはあるのだろうか。

経営危機段階にあると、相談相手には恵まれないものだ。
・このまま行くとこの先がどうなるか。
 ・社員は…。
 ・家族は…。
 ・取引先は…。
 ・買掛け先は…。
・それを一定程度想定して経営危機を切り開く。
 ・破綻処理の方法は…。
 ・その費用は…。
 ・その期間は…。 
・あるいは破綻処理をして再起を策す。
 ・事業は残せるのか…。
 ・また会社はつくれるのか…。
 ・また事業経営者になれるのか…。

わたしはそのための相談相手になり得ると自負している。
現段階で、経営危機相談(ほとんどが倒産相談)数は[約980件]。

どうか、このハードルを乗り越えていただきたい。
当社は“匿名”であっても受け付けている。
東京(新宿区)の事務所に来られない方のために、オンライン相談も行っている。
相談のための【事前相談(電話やオンライン)】も開設した。
ご連絡いただければ、協働者の才藤が対応している。
どうか、お気軽にご連絡いただきたい。

こうした問題が解決することはがないからこそ、わたしは[せめて、半年前に]と強く言うのだ。

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