倒産の全貌
2021年07月14日

【切迫倒産】と【予知倒産】 倒産の二つの様相

倒産には以下のふたつのタイプがある、とはわたしが繰り返し述べていることだ。

・最後までがんばるタイプ [A]希望の少ない倒産
・少し早めに諦めるタイプ [B]可能性の残る倒産

これを、以下のように整理(命名)し直したい。

◆【切迫倒産】最後までがんばるタイプ(希望の少ない倒産)
◆【予知倒産】少し早めに諦めるタイプ(可能性の残る倒産)

【切迫倒産】とは
倒産とは、債権者を残して事業を停止すること。
その倒産に際して、
・事業停止まで時間が切迫していて
・処理費用もなく
・倒産後の次のステップへの準備もできていない
ような状態を【切迫倒産】と呼ぶ。

【予知倒産】とは
倒産とは、債権者を残して事業を停止すること。
その倒産に際して、
・事業停止まで時間的に余裕があり
・処理費用もある程度あり
・倒産後の次のステップへの準備もできている
ような状態を【予知倒産】と呼ぶ。

わたしのところに実際の相談に来られる依頼人は、圧倒的に◆【切迫倒産】最後までがんばるタイプ(希望の少ない倒産)が多いのだ。

倒産は、事業経営者のゴールでは決して、ない。
ひとつのプロセス、単なる曲がり角、と位置づけたいとわたしは考えている。
そうであれば、その曲がり角を曲がった後の“次のステップ”への準備をして倒産の事態を迎えるべきではないのか。

ところが、
◆【切迫倒産】最後までがんばるタイプ(希望の少ない倒産)では、次のステップへの準備ができていないので、再起の機会を逃してしまうことが多いのだ。
◆【予知倒産】少し早めに諦めるタイプ(可能性の残る倒産)であれば、かなりの確率で再起できる可能性が退かされているものだ。

【予知倒産】を実現する倒産処理の最優先課題は、
・[早期発見]と
・[早期対応]しかないのだ。

“せめて半年早ければ…”
これも、かねがねわたしが申しあげている常套句だ。

“倒産処理に、早すぎることはない”
ことも、どうか胸に秘めておいていただきたい

・・・以下、わたくしごとをすこし。

この【切迫倒産】と【予知倒産】という言葉は、先日(2016年の八月下席夜の部)上野の鈴本演芸場に春風亭一之輔の『そこつの釘』を聴きに行った帰りの地下鉄大江戸線の中で、天啓のごとくにひらめいたものだ。

わたしはあとに続く倒産者に、より少ないダメージで倒産を乗り越え、早く再起できるようであってほしいと願っている。そのために、かねがね倒産問題についてより判りやすく説明できるように考えている。

経営危機に陥っている事業経営者になにはさておいても伝えたいことは、【Too Late】と【Too Large】にはなるな、ということだ。

・(事業の財務内容の悪化が)大きくなりすぎ、
・(経営危機をリカバリーするには)遅すぎてはならない、

ということなのだ。
なぜならば、倒産の処理に費用と時間が掛かりすぎ、エネルギーが奪われすぎるから。
よって再起がむつかしくなるからに他ならない。

局面によっては倒産処理ができずに【放置逃亡】以外の選択肢がなくなるケースもあり得る。
これでは時効までの五年から十年のあいだは再起がとても難しくなってしまう。

100の倒産があれば100の決着がある。
ネット上をいくら探しても、当事者にとって“再起につながるダメージの少ない最適な倒産処理”は発見できないだろう。
倒産処理とは、それほどデリケートなものなのだと知っていただきたい。

わたしの倒産からこの秋(2016年)で二十二年。最初の本を書いてからでも二十一年経った。
本は九冊書いた。対応した依頼人の数は八百人を超えた。

そのキャリアは倒産を多く扱っている弁護士でもそうはいない量だろう。
どうか、相談にいらしていただきたいとわたしは心から願っている。

事業経営者にとって、はじめての倒産は単なる通過点に過ぎないのだから。
そのことによって事業経営の能力が終わってしまうのはいかにも惜しいとわたしは思っているのだ。

終始一貫、上のことを伝えてきたつもりだが、相変わらずうまく再起できない方々(すなわち【Too Late】【Too Large】)は多いのだ。
それは、わたしの説明のしかたに問題があるのだとずっと思っていたのだ。

でも、【切迫倒産】【予知倒産】というキーワードを得て、どうやらより判りやすい説明ができるかな、と思うに至ったのだ。
ここしばらく、おそらくこの九月から年内いっぱいをかけてわたしのこのウエブサイト(ホームページ)を見直して書き直すことになるだろう。

どうか、期待していただきたい。

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