そもそも、[計画倒産罪]というものは存在しない。

[計画倒産]という言葉も厳密には定義されていないようだ。
現実的には、[計画倒産]と、紛らわしいが[計画的倒産]の二つの意味があるようだ。
【計画倒産と計画的倒産について】参照のこと。

弁護士などに聞いたところ、

[計画倒産]とは、計画的に詐取しようという意思を持って会社を設立して倒産をむかえることで、それは詐欺に当たる犯罪だ、といわれる。
一般的には、
・詐取しようという意図をもって会社を設立し、その会社が買掛け(仕入れ)をしてその買掛商品を換金して倒産するというような手口
あるいは
・倒産が判っていながら、金融機関から融資を受け一切返却しないうちに倒産するような手口
で、これらはいかにも詐欺と認められるだろう。

[計画的倒産]とは、事業が悪化して倒産が避けられないような段階に至った場合に、
・会社にある現預金を、優先的に処理したい債務に充てる。
・会社の資産を換金して、優先的に処理したい債務に充てる。
など、ある程度の計画を持ってその倒産の事態を迎えることは経営判断としては当然のことで、それは犯罪としての[計画倒産](すなわち[詐欺])ではなく、経営者の健全な判断による[計画的倒産]と言うべきであろうおと考えられる。
社員の給与などの労働債権を残したまま、あるいは外注下請け会社が連鎖倒産するであろうことが避けられなさそうな事態での倒産の事態を迎えることは、経営者としてはどうしても避けたいことになる。
ただし、この[計画的倒産]は、直前に
・借入金をして、それを隠蔽する。
・仕入れをしてそれを換金して隠蔽する。
は、禁じられた行為と言われる。
いわるゆ[詐害行為(さがいこうい)]である。返済に充てたとしたら[偏頗弁済(へんぱべんさい)]である。
破産管財人によって[詐害行為取消権]を発動されると、弁済しなければならなくなる。
運用を見ていると、弁済すれば詐欺にはならないようだ。

◆犯罪になるかならないか、あるいは[詐害行為(さがいこうい)]や[偏頗弁済(へんぱべんさい)]になるかならないかの分岐点
それは、倒産をいつ決めたか、によるようだ。
・倒産の意思を決めた後に、“支払い”、“返済”、すれば。アウト。
・倒産の意思を決める前なら、“支払い”、“返済”、すれば、セーフ。
ただ、これは現実的には難しい問題をはらんでいる。
倒産の最後の引き金は“資金不足”になる。
・給与が払えない
・買掛金が払えない
・借入金の返済ができない
・税金が払えない
などなど。
経営者はそのために起こる倒産を回避するために、“資金繰り”“買掛先など支払先との交渉”などをしているものだ。
それがまだ切迫していない段階では、“借入金(特に恩借)の返済”や、“買掛金などの支払い”は起こり得ることだ。
その資金繰りのプロセスで、
・融資が不調になったり
・買掛先との交渉が不調になったり
・差押えを受けたり
して、倒産に至ることはよく起こることだ。

◆裁判所や破産管財人はどう対応するか
この、
・[詐欺]に当たるかどうか
あるいは、
・[詐害行為]や[偏頗弁済]になるかどうか
は、ひとえに“破産管財人の裁量”次第になることが多い。

わたしが知っている倒産の事案を多くこなしている有能な弁護士は、避けられない倒産が予知された段階からは、詐害行為にならないぎりぎりのところで最後に残った資金の有効な活用使途をアドバイスするものだ。

わたしが相談を受けるケースでは、この部分のアドバイスは欠かせない。
申立て弁護士に嫌な顔をされても可能と思われる限り追求する。