※ このエントリーは2018.12.17.に書かれたものだが、よりご理解を深めていただくために2019.10.27.に修正をした。

倒産に際して最も多くの不安を持たれるキーワードに、この三つがある。

計画倒産

偏頗弁済

詐害行為

倒産処理の原則の最も大きなものに
倒産時の会社の財産は債権者に均等に配当されなければならない。
というものがある。
これらのキーワードは、その“均等な配当に反する“のではないか、ということだろう。

だがそれは、“倒産の意思決定”をした後でのことだ。
単に時間的に“倒産の前に行われた”というだけでは、“反する”とは言えない。

倒産とは、資金不足で債務を残して事業継続ができなくなること。

倒産の最終的な意思決定は、おおよそ“資金不足”になる。
最後の資金調達ができなくなって、はじめて倒産の事態が現実のものになるものだ。
その事態は三か月前のこともあるし、一日前のこともある。もちろんケースバイケースだ。
それまでは、倒産のことは考えてもいなかった、というようなケースもある。

その“倒産の意思決定”の後に行われることは、当然制限されることになる。
・新たに仕入れを起こして転売する。
・在庫品を売却する。
・経営者の会社への貸し付けを取り崩す。
・特定の借入(特に恩借)の返済を行う。
・特定の買掛先だけ支払う。
・クレジットカードでキャッシングや物を買う
・などなど。

これらは、計画倒産と言われ(現実的には計画倒産の定義もない)、風評として倒産者に重くのしかかる。
破産管財人がついている法的処理では、偏頗弁済と呼ばれ、詐害行為と認定されば、詐害行為取消権によって返却を余儀なくされることもある。
だがこれらはすべて、“倒産の意思決定の後”に行われることが対象になるはずだ。
単に時間的に一週間前はダメとか一か月前は認められない、というものではない。

わたしの疑問は、この点なのだ。
倒産せざるを得ないと思った(意思決定)のは“何時(いつ)”なのか。
その後ではできないこと(遣ってはいけないこと)はあるが、その前なら偏頗弁済や詐害行為には抵触しない、と思われるのだ。
現実に、破産申立書にその旨を明記し、破産管財人に説明をしたら、直前の支払いや返済を認めていただけるような運用をしていただいた破産管財人は何人もいらっしゃった。

しかし現実的には、直前に行われたそれらの行為が、申立て代理人の弁護士によって認めていただけないようなケースが多いのだ。
弁護士に相談に行かれた方などからそういう声はよくうがう。
弁護士に“相談”に行ったのに、
・倒産するべきかどうか、相談に行ったのに、「一切の支払いや返済はしてはいけない」と言われた。
・事業継承の相談に行ったのに、「倒産以外の選択肢はないので、資金は動かさないように」と言われた。
このようなことがよく起こるのだ。

倒産は、それだけでは犯罪ではない(地裁は運用するだけ)ので、運用経過が“判例として公表されない”ので、弁護士でも運用経験量が少ないとリスクがおかせないのだ。

当事務所は、相談に来られた方の利益を最大化する(不利益に陥らないようにする)ために、この点を最も重視している。