倒産する会社の債務には、どのようなものがあるか。ここで整理しておきたい。

① 税金
これには二種類ある。

①-1 会社の払うべき税金の未納分
法人税(国税) 法人の所得に対し、課税される税金。
・復興特別法人税(国税) 平成23年に公布され東日本大震災からの復興の財源のための税金。
・法人住民税(都道府県税、市区町村税)
・法人事業税(都道府県税)
・消費税(国税)
・印紙税(国税)
・登録免許税(国税)これらは優先債権なので、差押えの対象になるものだ。

①-2 社員の払うべき税金(所得税や住民税)の預り金の未納付分
・所得税預り金
・住民税預り金
・社会保険料預り(健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料)
これらも優先債権なので、差押えの対象になるものだ。

② 労働債権

②-1 社員の給与や退職金など。
このうち未払賃金(給与)に関しては、会社の財産ではまかなえない場合には、労働者健康安全機構による立替払い制度がある。
https://www.johas.go.jp/Default.aspx?TabId=687
これらは優先債権なので、差押えの対象になるものだ。

②-2 解雇予告手当
会社が倒産する場合、社員は予告手当をもらう権利がある。過去三か月分の平均の一か月分。一ヶ月以上事前に社員に告げてあれば支払う必要はないが、突然であれば支給しなければならない。ただしこれは、未払い賃金ではないので、労働者健康安全機構による立替払い制度の対象外となる。

以上①②③は優先債権として、破綻会社の財産から(差押えなどの手続きにより)優先的に支払われることになっている。

③ 借入債務

③-1 金融債務
金融機関からの借入金(融資金)。
これは、一般的には不動産などの抵当や代表者などの連帯保証を取っている場合がほとんどで、そのようなケースは[別除権]といって、一般債権でありながらその外で(優先的に)処理される。抵当権や連帯保証では相殺できなかった分は一般債権となる。

別除権を参照ください。

③-2 ヤミ金(市中金融など)からの借入金
これも、一般的には不動産などの抵当や代表者などの連帯保証を取っている場合がほとんどで、[別除権](一般債権でありながらその外で、優先的に処理)される。抵当権や連帯保証では相殺できなかった分は一般債権となる。

③-3 恩借(家族、友人、知人)など、私的な借り入れ
代表者貸付(社長貸付)、友人知人からの借入。これらは一般債権。

④ 買掛金
商取引の、仕入れ、外注費、未払い分。
代表者の連帯保証を取っていない分はすべて一般債権となる。

⑤ ローン
これは、一般的には代表者の連帯保証を取っている場合がほとんどで、[別除権](一般債権でありながらその外で、優先的に処理)される。抵当権や連帯保証では相殺できなかった分は一般債権となる。

⑥ リース
これは、一般的には代表者の連帯保証を取っている場合がほとんどで、[別除権](一般債権でありながらその外で、優先的に処理)される。抵当権や連帯保証では相殺できなかった分は一般債権となる。

⑦ 賃借料
事業所や店舗などの賃借料は、[保証金]が差入れてある場合が多くその範囲で相殺されることが多いが、賃貸借時の状態に原状回復が条件となっている場合は、その費用が発生する場合が多い。

⑧ 一般管理費系の未払い分
光熱水費、など。

これらの債務がひとつもなければ、それは被害者を出す倒産ではなく、[清算]となる。

わたしは、経営危機コンサルタントとして850社以上の相談に対応してきたが、これらのすべての債務のあった倒産者は数件あったことをここに表明しておきたい。その倒産処理は極めて悲惨なものであったことはいうまでもない。