本日(2017.11.8.)、朝日新聞の報道によると;
「破産手続き中の格安旅行会社てるみくらぶ(東京都渋谷区)が虚偽の書類をもとに銀行の融資金をだまし取った疑いが強まったとして警視庁は8日、同社社長の山田千賀子容疑者(67)と同社経理担当の男(36)を詐欺容疑で逮捕した。捜査関係者が明らかにした」
とのことだ。

これは【てるみくらぶ】が金融機関から融資金をだまし取ったことで、[詐欺]で逮捕された。

具体的には;
「捜査関係者によると、山田社長らは昨年7月、同社の業績に関する虚偽の決算関連書類を三井住友銀行に提出し、同行から融資金約2億円をだまし取るなどした疑いがある」
とのことだから、被害者は[三井住友銀行]のようだ。

【てるみくらぶ】の倒産によって被害を蒙ったところは金融機関だけではない。
・社員、従業員:おそらくは給与や退職金などが未払いのはず。
・税務署:国税や地方税なども未納のまま。
・社会保険庁:ここも未納は発生していることだろう。
※ ここまでは優先債権で、【てるみくらぶ】の財産などを差押えできる債権だ。
・金融機関:融資資金は相当あるだろう。
※ ここは抵当権や連帯保証などで上の優先債権以上に保全されている([別除権]という)のが普通だ。
・買掛先:現金で仕入れていないところは引っかかったはず。
・リース、クレジット会社:ここも未収になっている。
・光熱水費:当然、未収だ。
※ その他、これら一般債権は連帯保証をとっていなければ、すべてが未収になっているはずだ。

このように多領域にわたる債務を抱えるのが[倒産]の恐ろしいところだ。
だから、そうならないうちに破綻処理をしなければならない、とかねがね申し上げている。

にもかかわらず金融債務だけが[詐欺]と認定され、代表者などが逮捕されたというのは大いに違和感がある。
詐欺は親告罪ではないのだから、警察が判断して逮捕したのだろう。
それとも、三井住友銀行から[告訴]があったのだろうか、あるいは第三者からの[告発]を受けたのだろうか。
金融債務以上に、買掛先や顧客の方が“詐欺にあった感”は強いだろうし、ダメージも大きいと思われる(連鎖倒産のおそれもあり得る)のに、なぜ金融債務だけなのか、三井住友銀行はこのことで連鎖倒産することはあり得ないのに、だ。

一般的に、金融機関に融資を申し込むと審査を受けることになる。
そのうえで、保全のために[(根)抵当権]の提供や、[連帯保証人]を求められるものだ。
さらに、近頃は金融機関から融資を受けるのに、[保証協会]などの保証を得ることが一般的になっているのだ。

報道にあるように、「虚偽の決算関連書類」があったとしたら、その決算報告所に署名した税理士(もしくは公認会計士)がいるはずで、その者の関与は避けられないと思われるのだが、いち経理担当者だけが代表者とともに逮捕されたというのも解せない。

わたしには【てるみくらぶ】を擁護する意図は全くない。
わたしの意図はこの素材で、事業経営の問題点、危機管理、破綻処理(倒産処理)、 倒産犯罪、などについて理解を深めていただきたいのだ。

※ この【てるみくらぶ】倒産および逮捕の件は、問い合わせも多いことから断続的に解説的な連載をする予定です。