※ このエントリーは、2016年11月21日に作成したものだが、より判りやすくするために2019年7月31日に改定をした。

債務を残して倒産に至った段階で、債権者が会社の器具備品や、社長個人の家財道具などが差し押さえられると思っている方は多いが、そんなことは起こらない。

かんたんに差押えができるのは、優先債権である【税金】【社会保険】だ。
これは、会社の売掛先や会社の預貯金を差し押さえにかかる。これは、すぐに実行される。ただし、あればのことだが。
会社名義の賃借の保証金や車両なども差し押さえられることがある。
その他会社の器具備品や在庫などの動産も差し押さえられ得るが、税務署や社会保険庁とトラブルになっていない段階ではほとんど起こらないようだ。
突然、何の前触れもなく差押えになるようなこともない。
かならず、何回かの催告があり最終通告(社会保険の場合には[差押予告通知書])があっても対応しない場合に差押えが起る。

銀行などの【金融債務】やリース、ローンなどは、(根)抵当権を実行するか、連帯保証人のところに取りに行くことになる。
ただちに動産などの差し押さえはない。

その他、事業上の買掛金や外注費などの【一般債権】は、一般的には差押えなどはできない。
取引契約に動産などの抵当権設定があったり、売掛金を差し出すような契約があれば別だが、そのような契約は小規模零細企業の場合にはないものだ。

ただし、裁判沙汰になっていて【判決】がとられていたり、【公正証書】がとられている場合は差押えはあり得るが、そうしたことがなければ一般債権者が会社や社長の財産を差し押さえることはできない。

会社の債務に、社長(代表者)の連帯保証があれば、社長個人の財産が差し押さえられ得ると言わざるを得ないが、実際にはあまり見たことはない。

つまり、差押えは、【税金】【社会保険】の滞納があれば起り得るが、それ以外の一般債務に関しては裁判で【判決】がでていたり、【公正証書】がとられていなければ起き得ない、と考えていいだろう。

ただし、【仮差押え】という手法がある。
これは債権者が地方裁判所に、債権があるので債務者の財産を差押えをしたい、と申し出て認められれば【仮差押え】が実行される。
具体的には、弁護士に委任して仮差しの申立てをすることになる。
費用としては、債権金額の20~30%程度の供託金と、弁護士費用(数十万~百万円程度)が必要となる。
押さえられる財産としては、預金口座、不動産、売掛金などが一般的である。
この【仮差押え】は仮差しを受けた財産が債権者に持っていかれるものではなく、処分できなくなるだけの効力しかない。
そのうえで、交渉で決着をつけるか、実際に裁判に持ち込むことになる。
とはいえ、財産が使えなくなるのでダメージは大きい。

【仮差押え】が起きるか起きないか、を予測することは難しい。
債権者にしてみれば、当然の権利だから起きうることだと思った方がいい。
ただ、上にあげたようにその手続きをするだけで費用がかかる上い、仮差しができたところでその財産が使えるわけではないので、一般的にはあまり起こることではない。
債権者との人間関係が壊れているか(相手を怒らせているか)、訴訟慣れしている債権者では見られないこともない。

ある日突然、執行官が家にやってきて家財道具に“赤紙がべたべた貼られる”というのは、あり得ない。
かなり以前には実際にあったとも聞くが、そうした風聞は、一種の【都市伝説】なのだろう。