この問題も、[100のケースがあれば100の解決法がある]のであり、単純な問題ではない。

[根抵当設定の自宅不動産はどうなるか] も参照。

以下、仮定のケースで解説してみる。

 

対象不動産(30坪の一軒家)

・市場価格は5,000万円。

・住宅ローン残は1,000万円。

・(根)抵当権は、第一順位[A]5,000万円(借入残は4,500万円)

・(根)抵当権は、第二順位[B]3,000万円(借入残は2,500万円)

この状態での不動産は、5,000万円(市場価格)-(1,000万円(住宅ローン)+4,500万円(根抵当A)+2,500万円(根抵当B))=-3,000万円となり、売却できたとしても3,000万円の残債が残ってしまう。債務超過不動産の典型である。

 

[注記] 根抵当権に関する金額

根抵当権に関しては、いくつかの金額が出てきて混乱することがある。

・根抵当権設定金額

これは金融機関が設定し、登記簿に記載される金額だ。

登記簿をとってもこの数字しか出てこない。つまりこの根抵当権設定でどれほどの残債があるかは登記簿ではわからないのだ。

・借入金額

これは実際に借入れた金額だ。

根抵当権設定金額と同じであるわけではない、一般的には根抵当設定金額より少ないことが多い。

・借入残金額

これは、借入後に返済が進み、残っている借入残額だ。

現実的にはこの数字が最も重要になる。

[抵当権と根抵当権]
も参照。

[売却できるのか]

売却して5,000万円入ってくると、住宅ローンの1,000万円が返済され、残り4,000万円から第一順位の根抵当権Aが4,500万円のうちから4,000万円返済され、残債が500万円残ることになる。

第二順位の根抵当権Bの2,500万円は返済されることなく、2,500万円の残債がそっくり残る。

このようなケースでは、根抵当者Aが残債の500万円に相当する担保もしくは連帯保証人を要求し、根抵当権者Bが2,500万円に相当する担保もしくは連帯保証人を要求してくる。

この要求(担保もしくは連帯保証人)に応じられなければ根抵当の抹消には応じない。すなわち、売却はできなくなるのが通常だ。

要求される担保は、それぞれの残債以上の価値のある不動産などの(根)抵当物件、あるいはそれ以上の財産のある人の連帯保証だろう。

その条件が満たされれば(抵当権者<金融機関>の同意があれば)、すなわち抵当権者サイドから見て【保全】されていれば、基本的には売却は可能になる。

ただし、もちろん、購入者がいればの話だ。

実行できれば、それは【任意売却】といわれる。

 

[売却すべきケース]

事業が継続できる場合は、新たな(根)抵当権をつけたり新たな連帯保証人をつけてでも実行すべきだと考える。

なぜならば、(根)抵当権をつけて融資を受けていれば、当然そこには金利が発生する。売却できればその金利負担から解放されるからだ。

以上は、単純に合理的に考えた場合の判断で、現実的にはその背景にあるいろいろな問題を勘案して判断すべきだ。

まさに、[100のケースがあれば100の解決法がある]のだ。

 

[売却できないケース]

売却後の残債に対する保全ができない場合。(根)抵当権者の金融機関の同意を得られない局面だ。

事業の将来性に確認がないような場合は、この段階ではどうにもならないと考える。

代替えの保全ができたとしても、破綻してしまえばそれらの保全はすべてなくなってしまうのだから、じたばたしてもそれはリスクを大きくするだけになってしまう。

 

(根)抵当権の売却を考えるような段階に至ったら、それは【予知倒産】の段階に至ったと考えられることをお勧めする。

そのまま資金調達を繰り返していくと、気がついたときには【切迫倒産】の事態になっていることが多いのだ。

それは、今まで800人以上の相談者と対応してきた実感として申し上げる。