※ このエントリーは、2015年1月16日に作成したものだが、より判りやすくするために2018年2月25日に四度目の改定をした。

事業経営者が事業の継続ができなくなり、刀折れ矢尽きて倒産するのは、死んでしまいたいほど悔しいものだ。
思い出したくないが、わたしにも経験がある。

そこで最後の勇気を振り絞って、倒産処理をしようとしてネットで調べたり弁護士に相談したりすると思った以上に費用が掛かることに驚き、失意の中で処理をしようとしている気持に追い打ちをかけるように、さらに絶望的な思いに陥ることになる。

会社をつくるのはかんたんだが、終わらせるのはたいへんだ。と言われるゆえんだ。

【倒産処理の大原則】
倒産処理は、
・会社の財産をすべて換金し債務(未払、借入)に充てること
・会社のなした契約をすべで解除すること
これが大原則。

その際、債務のほうが大きくて債権者を出してしまうことが避けられず、それこそが[倒産]となるのだ。
当然100%の配当はあり得ない。配当が0%ということもよくあることだ。
この配当を債権者の誰からも苦情が出ないように処理するのは、だれが考えても至難の業だ。
さらには、雇用者の解雇、事業所の撤去などの会社のなした契約を解除することも必要になる。
そこで、その処理を地方裁判所に申し出て破産管財人によって処理してもらうのが[法的処理]であり、[法人の破産]処理となる。
その法人の破産と同じことを弁護士に頼んで[私的処理]することが[任意整理]と呼ばれる手法だ。
どちらにしても、かなりのエネルギーがかる。

【倒産処理の費用】
そのための費用は当然のことながら倒産者が負担しなければならない。
それにはかなりの費用が掛かるのだ。

[法的処理の費用]
[法人の破産]には、[管財事件]と呼ばれるものと、[少額管財]の二種類がある。

[管財事件]と呼ばれるもの(これが法人の破産の標準的処理方法)は、債務総額によって違いのある[予納金]を納めなければならないことになっている。
この予納金とは、地裁に任命されてる破産管財人の費用と考えていいだろう。破産管財人の費用が別途請求されるようなことはない。
最低(債務総額5,000万円以下)でも、[法人分70万円]と[代表者個人分50万円]。[合計120万円]必要になる。
詳しくは[法人の破産・管財事件とは・費用]を参照されたい。
この予納金は債務総額によって定められている。財産との差し引きではないので注意が必要だ。

簡易に処理できる場合は[少額管財]が適用される。
この少額管財でも[20万円(法人と代表者個人)の予納金](東京地裁の場合)と実費(数万円)が必要となる。
わたしは、小規模零細企業の倒産処理は、すべからくこの[少額管財]を目指すべし、と考えている。
詳しくは[少額管財を実現するための要件]を参照されたい。
ただし、[少額管財]は、その運用をしていない地裁も多くあるので、事前に確認しておく必要がある。

さらに、これらには申立て代理人の弁護士も必要になる(地裁は法人の破産の申立ては弁護士を申立て代理人にしなければ受け付けてくれない)。
この費用は難易度によるが[100万以上]はかかる(申立て前処理をしっかりやってくれる弁護士の場合は[150万円以上])。
この難易度とは、先に上げた“会社のなした契約をすべて解除する”の作業量によるものだ。
[少額管財]の場合、事業所の撤去が残っていると適用されないことが多いものだから、申立て代理人の弁護士にそれをしてもらうには、それ相当の費用がかかるものなのだ。
しかも、依頼人の利益を少しでも守っていただけるような有能な弁護士でなければ、いくら費用をかけても弁護士の商売にされてしまうだけだ。
役に立たない弁護士については[役立たずの弁護士が五人も…]を参照されたい。
弁護士費用についての詳細については[倒産の費用(総額)]を参照されたい。

[私的処理の費用]
地裁に申し立てて破産管財人が介在する方法ではない[任意整理(私的整理)]については、[予納金]は必要ないが[弁護士費用]が過大にかかることになる。
詳しくは[任意整理の弁護士費用]を参照されたい。

事業経営者が倒産の事態を受け入れ、ちゃんとピリオドを打って再出発するためには、上のようにかなりの費用が掛かるのだ。
それまで毎年、何千万円も何億円もの事業をしていた事業経営者が、百万円と少々の倒産処理費用を前にたたらを踏む局面が訪れるのだ。
それは倒産処理を甘く見ていたからに他ならない。

でも、考えてみていただきたい。倒産処理のためには、
・社員の労働債権を保証し
-給与、(規定があれば)退職金、解雇予告手当、など
・会社の財産を換金し
-売掛金の回収、会社財産の売却、在庫品の換金、など
・債権者に連絡して債権調査を行い
-買掛先、借入債務から光熱水費まで
・可能ならば配当を実行し
-できなければ0%になるが
・事業所の撤去を行い
-会社がなくなるので、会社の痕跡(看板、賃貸物件、各種届け出、など)もなくすことになる
・最終的には債権者の同意を取り付ける。
-裁判所での債権者集会
これらを行わなければならないのだ。
それを、倒産の当事者である事業経営者がやることを考えれば、かなりの程度の費用が掛かることは納得できるだろう。さらには精神的ダメージも。
賃貸物件の事業所の撤去も行わないで放置逃亡されたりすると、その迷惑はたとえようもなく大きくなってしまう。

よってわたしは常々“半年早ければ”と言い続けている。
せめて、半年早く相談に来ていただければ…。

時間が早ければ、【予知倒産】となり、
・倒産処理資金の調達も容易になるし
・心理的心構えにも余裕が生まれる。
それができないと、【切迫倒産】になり、[放置逃亡]が起こるばかりか、事業経営者として立ち直れないほどのダメージを受けるのだ。
わたし自身の倒産でそれを強く感じたので、後に続く人に同じ思いをしてほしくないのだが、お判りいただけるだろうか。

併せて「放置逃亡するとどうなるか」をぜひ参照いただきたい。

放置逃亡する最大のリスクは、時効までの5年間(最長10年間)、債権者に追われる生活が続くため、まっとうな市民生活はできなくなってしまうのだ。
併せて「倒産ー放置逃亡ー時効」をぜひ参照いただきたい。

どうか、倒産処理を甘く見ないでいただきたい。
【切迫倒産】になるにしても【予知倒産】になるにしても、ダメージが少なく、再起を可能にする処理をお考えであれば、当事務所にご相談ください。