DSC_0039この日は昼間ミッドタウンに行って買い物をした。
少し疲れが出たので、ホテルに戻って昼寝をしてから夕方SMOKEまで歩いて行った。アッパーウエストのマラケシュ・ホテル(Marrakech Hotel)はSMOKEに近い。
7:00p.m.開演だったのに、5:30p.m.ドアオープンの文字を見損なったので、6:30p.m.に行ったらもう50席ほどの会場はもう満員だった。
カウンターのさらに後ろの道路際の席に案内されたので、大いに不満そうにしていたら真ん中あたりのカウンターに移してくれた。
先ずコーヒーを頼んだら、煮詰まったのが来たのでバーテンのケヴィンに言って取り替えてもらった。
食事はディナーメニューを取らなければならなかったので、BBQリブ。食事より前に演奏が始まってしまったので、ゆっくり味わって食べられなかったのが悔やまれる。

わたしはこのSMOKEが好きで、ほぼ隔年に訪ねていて今回が四回目になる。
最初(2007年)はアメリカ人と結婚した友人のダンナに案内してもらった。そのデイブさんも名前しか知らなかったというジャズクラブだ。
きっかけは、日本のジャズクラブ(丸の内のCotton Club)に出ていたエリック・アレキサンダー(Eric Alexander)というテナー吹きに衝撃を受けて調べていたら、NYCのアッパーウエストにあるジャズクラブSMOKEを拠点にしていることがわかったことだった。

そして、ワン・フォー・オール(One for All)というユニットがどうしても聴きたくて(というより観たくて)、2009年の秋に二日間(各2ステージ)のライヴがあるのをSMOKEのホームページで見つけ、予約して飛んで行ったものだ。
このワン・フォー・オールというユニットは、リーダーは設定しておらず、
デビッド・ヘイゼルタイン(David Hazeltine:Piano)、ジョン・ウェーバー(John Webber:
Base) 、ジョー・ファンズワース(Joe Farnsworth:Drums)、のリズムセクションに対してジム・ロトンディ(Jim Rotondi:Trumpet)、スティーブ・デイビス(Steve Davis:Trombone)、エリック・アレキサンダー(Eric Alexander:Tenor Sax)の三人をフロントラインとした三本管のユニットで、1960年代にはいくつかあったがこのところではセッションのためのユニットしてはあったが、恒久的なバンドとしてはほとんど見なかったスタイルを復活したものだ。
1958~1968年生まれの若手ミュージシャンたちで、1999年ごろに発足し、今までで18枚のアルバムを記録している(One for All の名は冠していないがほとんど同じメンバーを入れると22枚になる)。その間ベーシストの移動はあったがそれ以外のメンバーは全く移動がないというジャズのバンドとしては稀有の存在なのだ。

その時はカウンターに座っていたらインターミッションでミュージシャンが寄ってきて話ができたのだった。
わたしはロクに英語はしゃべれないのだが、「日本から来たんだ、「英語はうまくしゃべれない、「あなたのアルバムはたくさん持っている」などと語りかけると、なんとか通じることがわかって、うれしくなったものだ。

今回は、そのユニットとは違って、エリック・アレキサンダーをリーダーとするセクステット(六重奏団)だ。これはたぶん、このセッションのためのユニットでレコーディングなどの予定もないのだろう。
SMOKEの表現によれば、この年末から年始にかけてエリックを核とした[ジョン・コルトレーン・フェスティバル(John Coltrane Festival)]の一環ということのようだ。
パーソネルは、77歳の大御所ハロルド・メイバーン(Harold Mabern:piano)、48歳のジョン・ウェーバー(John Webber:bass)、45歳ジョー・ファンズワース(Joe Farnsworth:drums)をリズムセクションに、37歳のジェレミー・ペルト(Jeremy Pelt:trumpet)、50歳になったばかりのビンセント・ハーリング(Vincent Herring:alto sax)、そして45歳のエリック。
ユニット構成でいえば、ワン・フォー・オールのトロンボーンがアルトサックスに変わったもの。このユニットはキャノンボール・アダレイが一時やっていたが、あまりポピュラーではない。
昨日のマイク・ディルーボと今日のビンセント・ハーリングと、違うタイプのアルトサックス奏者が二日続けて聴けるのがうれしい。

このビンセントは、キャノンボールの再来などと言われ、一時はナット・アダレイ(Nat Adderley:Cornet)と一緒のバンドにいたくらいで、キャノンボールらしい明るくて艶やかさが強く出るアルトだが、近年はそこにエモーショナルな味わいを加えてきている。
楽器は日本製のYanagisawaを使っている。ジャズのサキソフォン・プレイヤーはビンテージの楽器を使う人が多いなか、金メッキのピカピカは珍しい方だ。
その音は、実にのびのびとして艶やかでなまめかしい。昨日のマイクはどちらかというと硬質でハードボイルドな音だから、傾向としては正反対だ。
わたしは、そのどちらも好きだから困ってしまう。

エリックとは2005年に[The Battle]と2011年に[Friendly Fire]をこの同じSMOKEでのライブを記録している(ピアノはマイク・ルドン:Mike LeDonne)ので、恒久的というわけではないが実績のあるユニットといえるだろう。
このユニットでは、テナーとアルトのバトルという面とそのハーモニーとコンビネーションをうまく出していて、ユニークでスリリングだ。

今回のこの三本管のフロントラインのユニットは、さすが華やかだ。
テーマは基本的にはアレンジされていて三本で奏で、その後それぞれのソロを展開していくスタイル。誰かがソロをしているときにワンコーラスごとに二人がオブリガートをつける。わたしにはその構成そのものがぞくぞくするほどうれしくなる。
エリックは相変わらずいい音を出してタフ。ビンセントは華やかできらきらする音でじっくり。ジェレミー・ペルトのトランペットは華麗にして多彩(ジェレミーについては明日のレポートでじっくり語ります)。

この日のステージは、7:00p.m.、9:00p.m.、11:30p.m.とスリーステージある。
その第一回目だったせいだろうか、実質60分程度で終わってしまった。
おおいに物足りなかったが明日もあるので、満足して素直に帰ろう。