※ このエントリーは2012.12.18.に作成したものだが、より多くの方に読んでいただきたいので2017.12.6.に四回目の修正をした。

倒産処理に弁護士は不可欠だ。

わたしは倒産処理のコンサルタントとして、20年間で850件ほどのものに対応をしてきた。
その間、依頼人の方が連れてきた弁護士や、若手老練を問わず弁護士からの売り込みも含めてたくさんの弁護士に会ってきた。
なかには「非合法もやります」とはっきり言った弁護士もいた。

では、わたしが弁護士をどう思っているか。
このことはちょっと書きにくいのだが、正確に書いておこう。

◆倒産処理に弁護士は欠かせない。
法的処理の[法人の破産」については、申立て代理人、破産管財人。みんな弁護士でなければならない。
申立て代理人については金融機関との交渉に必要な“代理権”が弁護士にしか認められていないうえ、地方裁判所は弁護士が代理人になっていないと申立てそのものを受け付けていただけないので、弁護士以外の選択肢はない。
破産管財人については地方裁判所から委嘱を受けて、準公務員的な立場が与えられるのだから致し方ない。
私的処理の[任意整理]も、これに準ずることになる。
この領域は弁護士の独占領域なのだ。
弁護士の資格を持っていないと全く参入できない。

この領域に弁護士以外が入ってくることはちょっと考えられない。
それはそうだろう。非合法の人たちが入り込んで来たら、倒産処理はめちゃくちゃになってしまうことだろうから。
将来あるとしたら、国家資格の[倒産処理士]などの資格を設定してその有資格者に開放することは考えられるが、あまり現実的ではない。

倒産する者の視点から見ると、申立て代理人の費用も、破産管財人の費用も破産者(倒産者)が払っているにもかかわらず、必ずしも破産者の利益を優先していただけないという違和感があることだろう。
破産管財人の費用が国から出ていると思っている人は多いが、実は予納金のほとんどが破産管財人費用なのだ。
さらに、破産者の財産処分で得られたお金の中から裁判所の指示で破産管財人に与えられるものも多いのだ。
詳しくは、[破産管財人が得た最高報酬]を参照。

◆申立て代理人の対応領域の不可侵領域
申立て代理人の弁護士が、依頼人から要請を受けた場合、大きくは二つの対応領域がある。

・破産の申立て作業
法人の破産の申立てをする場合は、依頼人から経営資料を出してもらい、かついくつかのインタビューをして弁護士が『申立て書』(地裁の規定に合わせた規制のものがある)を作成し、地裁に申し立て(という行為)をすることになる。
[委任状]を書き、[委任料]を支払うことになる。
この委任を受けた段階は、依頼人の倒産の意思が決定した段階とみなされるため、申立て代理人の弁護士は[詐害行為]や[偏頗弁済]に関わる相談には一切乗ってくれなくなる。
なぜならば、地裁が選定した[破産管財人]に対して、依頼人の代理人として対峙する以上、[詐害行為]や[偏頗弁済]を容認したとみなされるようなことはできなくなるのだ。
そのため、[詐害行為]や[偏頗弁済]に抵触しそうな問題をはらんでいる場合には受任を嫌がられることがある。
時間的余裕のある【予知倒産】の場合は経験量が少ない弁護士でもなんとかはこべるが、【切迫倒産】の場合は経験量が少ないと対応がおぼつかなくなることが多い。

・経営相談(破産相談)
現状の財務事情から、破産処理に至るまでの経営相談に対応するのも弁護士の領域である。
この経営相談は、当たり前のことだが経営が判らないと相談にならない。
場合によっては[詐害行為]、[偏頗弁済]に関わることはが内在する場合もあるが、依頼人が倒産の意思を決定する前の段階の経営相談であれば、どうするかを一緒に考えてくれるのも弁護士の領域だ。
これは、委任前の[経営相談]で、相談料金(おおよそタイムチャージ)を支払う。
ところが、[破産申し立て]をすることになると、[破産管財人]と対峙することになるので、[詐害行為]や[偏頗弁済]に関する相談には乗ってくれない弁護士が多い。
経営相談を持ちかけても、「それはできない。この段階から一切資金移動をしないで申立てましょう」と言われることが多いのだ。
つまり、依頼人の利益を守るような経営相談には乗っていただけない、ということがよく起る。
それは【予知倒産】でも対応していただけず、ましてや【切迫倒産】では言うまでもない。
弁護士にとっては、受任した仕事を淡々と行う方がリスクが少ないのだ。
・[詐害行為]や[偏頗弁済]関連は不可侵領域
こうしてみると、弁護士は依頼人の利益を守る立場ではなく、受任した仕事を淡々とこなして報酬を得るだけだ、ということがお判りいただけるだろう。
少なくとも[詐害行為]や[偏頗弁済]など、弁護士にとって不可侵領域についても相談に乗っていただける弁護士を探さなければばらないのだ。

◆すべての弁護士が破産処理できるわけではない。
弁護士は自ずと得意領域と不得意領域があり、倒産処理がこなせる弁護士はおそらくは少数派だ。
倒産案件を年に二件以上毎年こなしている弁護士は、わたしの直感だが10~20%だと思われる。
では、倒産処理の経験量の少ない弁護士に相談に行くとどうなるか。
・何が何でも法人の処理と代表者個人の[破産]を勧める。
理由は、その作業は破産の申立て書を作成して破産管財人に繋ぐだけで、比較的簡単な作業だからだ。
・倒産処理の相談に乗ってくれない。
[偏頗弁済]や[詐害行為]に抵触しそうな要件や、再起のために確保する[現金]などのデリケートな要素は対応してくれない。
・再起についても無関心だ。
弁護士は、[倒産処理]までが役務で、その先まで関心を払おうとはしない。
そのような弁護士に当たると、弁護士の商売に寄与させられることになることがほとんどなのだ。

◆[偏頗弁済]や[詐害行為]などの対応。
当事者にとって極めて大事な[偏頗弁済]や[詐害行為]に対しては、当事者の利益を守る立場で対応していただきたいのだが、なかなかそういう弁護士はいないものだ。倒産の経済的な局面は、破産者が債務超過になっているので支払いきれない(返済できない)債務を抱えている状態の中で、破産者の財産を換金し債権者に配当するということだ。
そうした局面にあっては、破産者の利益を最優先することはできないということはうなずけるが、破産者の希望が全く聞いていただけないことは、破産者にとっては違和感が残るのだ。
・連鎖倒産が起こりそうな買掛先に支払いたい。
・友人からの借り入れを返済したい。
など、人間関係が毀損されそうなことでありながら[偏頗弁済]や[詐害行為]に抵触しそうな局面も全く認めていただけないことも多い。
このようなことは、時間が申立て直前である場合や、金額が多くて[偏頗弁済]や[詐害行為]が避けられない場合が認められないのはわかるが、[偏頗弁済]や[詐害行為]を回避する手段手法もないわけではないのだが、これもなかなか対応してはいただけない。
それによって抑えられた出費(すべてではない)が破産管財の報酬に上乗せされるのは、やはり違和感がある。
せめてその一部だけでも認めていただけないものか、とそのような運用を見せる破産管財人に遭遇するにつけ、いつも思う。

申立て代理人の弁護士によっては、破産管財人に働きかけて実現していただけるように動いてくれることもある(わたしが関与している場合は必ずそうする)が、なかなか難しい問題だ。

弁護士の経済的なプリンシプルは二種類あると思われる。
・依頼人の利益のために働く
という弁護士と、
・いただける費用の範囲で働く
という弁護人に。
誰がその費用を出すのか、という面には興味がないのだろう。

弁護士は、浮世離れした価値観を持っている人が多いということなのだろうか。
少なくとも当事務所に相談していただければ、当事者の利益を最大限に考えた対応をしていただける弁護士はご紹介できるので、ご安心ください。
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