※ このエントリーは2013年9月2日に書かれたものだが、より判りやすくするために2018年12月5日に二度目の修正をした。

倒産は、ほとんどの方が初めて経験する。

疑問点がたくさんあるのは当たり前だ。早く確認して安心したい気持ちも判る。
わたしに倒産経験があるのでこれらについては痛いほど理解できる。
しかし、これらに対して電話で正しく答えるのは至難のわざなのだ。
いくら時間をかけて、FAXやメールを駆使した電話相談も、面談にまさるものはない。

よって、当事務所では電話相談は受け付けていない。
遠回りに思えるだろうが、一度面談に来ていただいたほうが依頼人の疑問に答えるには早道であり、電話相談よりもはるかに有用なのだ。
もちろん一度面談した方であれば、状況がわかっているので電話相談には応じている。

例えば、こんな質問がよくあった。
「倒産すると、自宅不動産はどうなるのですか」

この質問に対応するには、いくつかの前提を確認しなければならない。
「その不動産の購入時期と購入金額は」
「その不動産に住宅ローンは残っていますか」
「その不動産に抵当権あるいは根抵当権はついていますか」
「ついているとしたらどの金融機関で設定金額はいくらですか」
「抵当権あるいは根抵当権での借入残高はいくらですか」
「その借入金融機関に、遅延などはありますか」
「最新の登記簿謄本はお持ちですか」
これらがわかって、はじめて住宅ローンあるいは抵当権(根抵当権)の権利者がどうするであろうか(任意売却にするか競売にするか)の説明ができる。

この質問の次にあるのは以下の質問が多い。
「いつまで住み続けられますか」
これには、抵当権者の金融機関によって対応が変わるので、その金融機関を確認したうえで、
「半年くらい」

「一年くらい」
か、あるいは
「三年は大丈夫でしょう」
などと答えることになる。

「買い戻すことはできますか」
このような質問には、以下の確認が必要になる。
「その辺りは、よく売買されるところですか」
「どのくらいの価格で取引されていますか」
さらに、
「どの程度の資金が用意できますか」
それらがわかってから、任意売却か競売になる可能性を推し量りながら、
「任意売却で買い戻す方法は…」
あるいは、
「競売になった場合の買い戻し方は…」
と答えることになる。
具体的には、権利者が金融機関の場合、その不動産の所有者では売却に応じない場合が多く、誰が所有者なら応じるか、その場合の手続きや税金はどうなるか、などの説明が必要になる。

以上は一例である。

これ以外にも、
「売掛金の回収はできますか」
「倒産の費用はいくらかかりますか」
「弁護士に相談に行ったのですが…」
「詐害行為にはならないでしょうか」
「免責になるでしょうか」
「倒産後の生活はどうしたらいいでしょう」
など、などの質問が実にたくさんあった。
特に
[計画倒産]
[詐害行為]
[偏頗弁済]
についての質問は多い。
これらの質問には、単純に答えられないことが多い。
沢山の確認事項の上での判断が必要だからである。
面談すれば納得していただけるのだが、電話では到底納得は得られないだろう。

たとえ電話相談で一つのことが判ったとしても、必ず次なる質問がわいてくるのが倒産相談なのだ。
倒産相談(経営危機相談)は、決算書を前にしてじっくり面談するにこしたことはないのである。

電話での経営相談が遠回りであることを、どうかご理解いただきたい。