※このエントリーは2013.9.30.に書かれたものだが、より多くの方に読んでいただきたいので2017.2.15.に多少の修正を加えて改めてアップロードした。

この質問は根強い。
経営危機コンサルタントを20年以上やっているが、いまだになくならない質問だ。

「社長は離婚すべきか」

この質問には以下の問題が控えている。
・倒産すると社長の家族(妻)も責任を問われるのか。
・離婚しないと妻の財産もとられるのか。

これらの問題は、要は[連帯保証人]の問題なのだ。

債務は、それが借入債務であれ支払い債務であれ、債務の当事者(主債務者)が責任を負うものだが、その債務に連帯保証人がついていれば、その連帯保証人はその債務から解放されることはないのだ。
連帯保証をしていなければ、会社の役員だろうが、社長の家族であろうが、一切の債務責任は発生しない。

つまり、夫である社長の債務に妻が連帯保証人になっていれば、社長が払えなくなれば妻に支払い義務が生じてしまう。
たとえ離婚しても、元妻は連帯保証した債務から解放されることはないのだ。
もちろん連帯保証人が妻ではなく第三者であっても同じことだ。

配偶者(妻)だからという理由だけで債務責任が生ずることは全くない。
もちろん、会社の役員であっても社員であっても連帯保証していなければ債務責任は一切生じない。

◆(単なる)保証人と連帯保証人の違い
[保証人]は、保証人が何人かいる場合には、債務責任に順番があり、主債務者(もしくは上位の保証人)が払えなければその下の人に移行するのだ。よって下位の保証人に請求があっても、「主債務者(もしくは上位の保証人)のところに行ってください」と追い返すことができる。最終的には主債務者(および上位の保証人)が破産でもしない限り、差押えなどの債務責任が生じることはない。
[連帯保証人]は主債務者と同等の義務があるので、主債務者が払えないと連帯保証人にも支払い義務が生じるので、連帯保証人の財産に差し押さえなどのことは起こり得るのだ。連帯保証人が何人いても同等の支払い義務が生じるので、連帯保証人が集まって誰がどれほどの債務を負うかを協議して債権者の了解を取り付けなければならない。


経営者たるもの、妻(あるいは家族)や第三者の連帯保証は決して設定すべきではない

とわたしは考えている。
金融機関がリスクヘッジのために連帯保証人を求めてくるのは常套手段だが、それは必須条件ではないはずなので、最後まではねつけるべきである。

以前お目にかかった経営者は、自宅不動産は奥さんの名義で、なおかつご主人の会社の借入債務の連帯保証は一切していなかった。
そのため、ご主人の会社が倒産した折に自宅不動産が無傷で残ったばかりでなく、奥さんも連帯債務を負うことなく破産からまぬかれ、さらに奥さんの財産をもとにまた会社を興したということも現実には起こり得るのだ。

これも実例だが、倒産し債権者に対しての“誠意の見せ方”として、「自分は離婚までしたのだから」と寛恕を請う“手法”として使った方もいらっしゃった。
わたしには行き過ぎのように見えたが、債権者のあたりは柔らかかったとのことだった。

連帯保証は、一度設定すると金融機関はなかなか解除してはくれない(解除するためには最初に設定した連帯保証人以上の連帯保証人の設定を求めてくる)ので、ハナから応じないことが最も需要である。

ただし別の意味で離婚したいのであれば、当然のことながらこの限りではない。