法人の破産と(社長)個人の破産

同じ[破産]にも、[法人の破産]と[個人の破産]がある。
この違いはどこにあるのか。

破産とは、債務が大きすぎてそのままでは事業や生活ができなくなるので、持てる財産は投げ出すので、残った債務は免責にしてほしい、ということだ、と解釈できる。

[法人の破産]の場合は、その法人(会社)はなくなってしまうのだ。

*会社のすべてがなくなってしまう。
 ・代表者も、役員も、社員も、アルバイトも、なにもかも。
*契約しているものはすべて解除される。
 ・営業上の契約も、賃貸契約も、雇用契約も、何もかも。
*会社の持てる財産もすべてなくなってしまう。
 ・それが不動産であれ、機械設備であれ、机やいすに至るまで、なにもかも。

全てがなくなってしまうので、手続きとして[免責]はない。
免責されるまでもなくすべてがなくなってしまうのだから、改めて[免責]する必要がないのだ。

[個人の破産]の場合、個人は生きていかなければならないので、一定の“財産”だけ残して、それ以外の財産がなくなってしまうのだ。

*現金は99万円以上がなくなる。
*預金は20万円以上がなくなる。
*市場価格で20万円以上の財産はなくなる。
 ・車でも査定価格が20万円以下なら保持できる。
 ・家財道具(TVやパソコンなど)も、20万円以上で売れなければ持っていられる。
 ・100万円で買ったパテックでも買い取り価格が20万円以下なら持ち続けられる。
 ・…そもそもそれらは“申告制”なので、判らなければ問題にはならない。
 ・破産管財人が個人の破産者の家に来てどんな財産があるかをチェックするようなことは、一切ない。

法人の破産では財産などすべてがなくなるのだが、個人の破産では生きていかなくてはならないので、すべての財産がなくなるわけではないのだ。
申し立てた債務は[免責]されるが、それ以外のものは保持し続けられる。
ここが、法人の破産と個人の破産の大きな違いと言えるだろう。

10年ほど以前は、会社の破綻処理は放置したまま、社長(代表者)個人の破産だけをすることは黙認されていた。

負債総額別の[予納金]を収めれば個人の破産だけを受け入れてくれた。
さらには、財産がなければ[同時廃止]という運用方法で、破産管財人もつかずに2万円の予納金でで処理できたものだ。

しかし[少額管財]という運用方法が開発され実施されるにつけ、上のような代表者個人の破産だけを地裁に申し立てても受け入れられなくなった。

そのような申立てに対しては、少額で対応してあげるから[少額管財]という運用方法の申立てをして、法人の破産と代表者個人の破産をワンセットで処理しなさいと指導されるようになった。
この少額管財は破産管財人が地裁に任命され、処理に介在する。

以上は少額管財を採用している東京地裁などでの運用の実態である。

仮に法人の破産の負債総額が8,000万円で、個人の破産の負債総額が5,000万円だとすると、予納金は100万円と80万円となり、合計180万円(個人の破産だけなら80万円)が少額管財では20万円でできるようになったわけだから、どちらにしても大幅に少額化が実現したことになった。
ありがたい運用方法の変化だと思う。

以前は負債総額別予納金が払えずに[放置逃亡]がとても多かったのだが、少額管財の運用が実現しても、相変わらず放置逃亡はたいへんに多い。

少額管財の予納金が用意できないのだが、どうしたらいいだろう、という相談も多いのだが、このような運用の変化を思うにつけ、少額管財の予納金である20万円は死にもの狂いで集めていただきたいものだと思っている。

少額管財の費用の最新情報はこちらを参照

※ 少額管財の運用を採用していない地裁の場合では、同時廃止も受け付けてくれない上に負債総額別の予納金が残っているところが多いために、倒産処理の費用が高額のままなので放置逃亡が減らない要因になっているといわれている。

※ このエントリーは、[倒産の全貌]の『法人の破産と個人の破産の違い』と内容的に近かったので、2016.2.1.に統一したエントリーに変更する。

 

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