※ このエントリーは、2015年3月23日に作成したものだが、より正確を期すために 2017年6月12日に修正した。

●倒産とはどういう状態か
倒産とは、会社が資金不足の状態になり、事業が継続できなくなることである。
その状態は必然的に債権者が発生することになる。
労働債権(社員や従業員の給与など)、税金・社会保険、買掛金(仕入先や外注先)、金融債権(金融機関からの借入金、など)、一般管理費(家賃などの賃借料、光熱水費、など)、など。
これらの債権者は会社に債権を請求してくる。しかし会社が資金不足なのですべては支払えない。事業は停止せざるを得なくなっている。
この状態が倒産状態である。

●倒産の処理
この状態を解決する方法は、会社の資産を換金して、債務に充てることである。
連帯保証していなければ、会社の債務は代表者には及ばない。
当然すべては支払えなくなるので、債権者は満足しなくなる。
倒産処理のむつかしさは、すべての債権者を満足させることができないこの状態をどう決着させるか、にある。
さらなる問題として、倒産すると会社はなくなってしまうので、会社のあった事業所なども一切なくさなければならなくなるのだ。その物理的作業もかなりのエネルギーを要する。
倒産状態を処理する方法は三つある。
・法律に則って[法人の破産]処理をする。
・法に拠らず[任意整理(指摘処理)]をする。
・一切を放棄して[放置逃亡]する。

●[法人の破産]の具体的方法と費用
まず、[申立て代理人]になってもらえる弁護士を探してきて委任する。弁護士に委任しないでひとりでやることは現実的ではない(地裁に相談に行っても弁護士を雇いなさいとアドバイスされる)。金融機関との交渉は代理権を持っている弁護士でなければ、金融機関が応じない(弁護士を雇ってほしいといわれる)から、どうしても弁護士が必要になるのだ。
申立て代理人は、すべての債権者に連絡してくれるし、その対応もすべてやってくれるので、倒産の当事者としては大きなストレスからは開放されることになる。
この申立て代理人の弁護士費用は、倒産の規模や申立て前処理の領域にもよるが、有能な弁護士であれば100万円以上はかかるだろう。安くやってくれる弁護士のいるようだが、そのような弁護士の場合は単に地裁への申し立ての手続きを行うだけで、申立て前の(倒産者に有利になるような)複雑な対応は期待できないものだ。
法人の破産は法的手続きなので、裁判所に納める[予納金]が必要になる。
予納金とは、裁判所に任命される[破産管財人]の費用であると考えていい。破産管財人の費用が別途発生することはない。
最低費用は[少額管財]の20万円(案件の内容によっては少し増額もあり得るが、50万円までは行かないだろう)で、法人と代表者個人の破産をワンセットで処理してくれる。
管財事件と呼ばれる負債総額別の予納金一覧も地裁から発表されている(最小単位は、負債総額5,000万円未満で法人が70万円、代表者個人が50万円で合計120万円)が、小規模零細企業の破産処理の場合は、少額管財で運用していただけるように導くことができる弁護士に委任しなければならない。
地裁に申立てしたら、破産管財人が出てきて会社の財産を換金し(破産管財人が任命されるまでは、申立て代理人の弁護士がこれを行うこともある=申立て前処理)債務に応じて配当することになる。
申立て後は破産管財人の管理下で債権債務が調査される。破産管財人の事務所(単なる弁護士事務所だ)に呼ばれることもある。その時に同行してくれない申立て代理人もいるというが、困ったことだ。
破産を処理した経験がない弁護士も多く、そうした弁護士に委任すると費用も高く時間もかかるので、そうした弁護士しか見つからない場合は当事務所に相談していただければ対応してくれる弁護士を探すことはできる。
小規模零細企業の倒産の場合は配当されることはめったにないのが現実だ。
最後の段階は地裁で債権者集会が行われ、債権者から異議がなければすべての手続きが終了する。
この間、東京地裁の場合では二~五ヶ月というところだろう。
最終的に代表者に[免責]決定が出れば(法人=会社は消滅してしまうので免責はない)、一般ピープルに戻れるのである。

●[任意整理]の具体的方法と費用
任意整理による処理は、裁判所の手続きがないので予納金も不要だし、破産管財人も出てこない。
まず、[代理人]になってもらえる弁護士を探してきて委任する。
この代理人が法人の破産における破産管財人と同様のことを行うのである。
倒産の任意整理は、経験がない並の弁護士では到底できる領域ではない。
この費用はやはり倒産の規模にもよるが、法人の破産よりはやや高く150万円以上はかかるだろう。
代理人は、[介入通知]をすべての債権者に出し、その対応もすべてやってくれるが、法的処理ではないので強制力がないのがつらいところだ。倒産の当事者としては法人の破産のようにストレスから完全に開放されることはないのが普通だ。
債権者に対して弁護士が介入通知を出し、倒産処置の代理人として法人の破産と同様に債権調査を行い、会社の財産を換金し、債務に応じて配当することになる。
任意整理が可能なケースは、債権者が少なく処理に協力的でなければならないので、可能性は多くないと考えた方がいいだろう、当事務所に相談いただければ可能かどうかや弁護士の紹介など対応できる。
この任意整理は法的処理ではないので、債権者一律の配当でなければならないということはないので、ある債権者は10%で、またある債権者は5%ということも、債権者から異議がなければできる。
小規模零細企業の倒産の場合は、法人の破産と同様に配当されることはめったにないのが現実だ。
裁判所の手続きではないので、強制力のある債権者集会が行われ、異議がなければすべての手続きが終了する、というわけには行かない。
配当額(50%であれ1%であれゼロであれ)に債権者が納得していただければいいのだが、そうでないと紛糾するとともあり得る。紛糾すると、改めて裁判所に申立てをして[法人の破産]処理に移行することも多い。
この間、は債権者の意向に左右されるので数ヶ月から数年かかることもある。
最終的に債権者が納得して、協定書がつくられれば終結する。

●[放置逃亡]の具体的方法と費用
倒産の処理の一切を放棄するので、具体的方法は放置するだけだし、費用も一切かからない。
ただ、そのまま放置した状態では債権者がうるさくてなかなか社会復帰できないことが多いので、特定債権者に一部支払いをして社会復帰を果たすというようなことがよくおこるものだが、それでは任意整理とあまり変わらない結果になっていることになる。

●倒産後の社会復帰
倒産後の経営者の社会復帰は処理方法によって異なるといわざるを得ない。
・法律に則って[法人の破産]処理をした場合。
これは、何の憂いもなく正々堂々社会復帰できる。この処理は胸を張ることはできないが下を向くこともなく生きていける、といえるだろう。
・法に拠らず[任意整理(指摘処理)]をした場合。
この場合は、裁判所が認めた処理ではないので、法人の破産に準ずることになる。この処理の場合はもちろん胸を張ることはできない上に、ある種の債権者の前では下を向いたままでいるほかはない、という風になる。
・一切を放棄して[放置逃亡]した場合。
これは、残念ながら債権者が近くにいる環境では社会復帰は難しいと言わざるを得ない。事業上の債務の時効は最長で十年だが、そののちまでも胸も張りにくいし上を向けない状態が続く、となる。