※ このエントリーは、2013年8月1日に作成したものだが、より判りやすくするために2016年9月15日に三度目の修正をした。

倒産するかどうかの判断は、簡単なものではない。
「あぁ、もうだめだ」とさじを投げる経営者もいれば、「なんの、まだまだ」と最後の最後までがんばる経営者もいる。

当事務所に相談にこられる方は、「最後の最後までがんばって、ついに力尽きたとき」がその時だ、とおっしゃる方と、「このまま続けていても可能性が少ないので、被害が少ない段階で相談に来ました」という二派に分かれる。

◆【切迫倒産】最後までがんばるタイプ(希望の少ない倒産)
◆【予知倒産】少し早めに諦めるタイプ(可能性の残る倒産)

【切迫倒産】とは
倒産とは、債権者を残して事業を停止すること。
その倒産に際して、
・時間がなく
・処理費用もなく
・次のステップへの準備もできていない

ような状態を【切迫倒産】と呼ぶ。

【予知倒産】とは
倒産とは、債権者を残して事業を停止すること。
その倒産に際して、
・時間敵に余裕があり
・処理費用もある程度あり
・次のステップへの準備もできている

ような状態を【予知倒産】と呼ぶ。

その【予知倒産】というのは、資金が完全に行き詰った時である。
事業経営の最終段階は、おおよそ資金的な問題になるのが常だが、その最終段階では
・資金の調達(売上入金や、借り入れ)
・支払いや返済の猶予(金融機関や買掛先、あるいは税金や社会保険、一般管理費など)
がうまく処理できるかどうかその後の再起再生の死命を決することが多い。

倒産の判断の難しいところは、最終段階になっても
・今日諦めても、明日大きな注文があるかもしれない。
・今日倒産を決めても、明日融資が実行されるかもしれない。
というような、かすかであっても可能性にすがろうとするところだろう。以前にそのような体験があって、リカバリーできたとしたら、ついその成功体験に頼ってしまうものなのだ。しかし何ヶ月も(何年も)そのようなことが起こらなかったからこその、資金的な経営危機なのだが。

判断が難しいのはわかるが、無理して進むことは避けなければならないということを、わたしは強く申し上げたいのだ。
こと、事業経営に関しては最後の最後までがんばるというのは、百害あって一利なしなのだ。
なぜならば、そのように判断できずに逡巡している間に、状況はどんどん悪化していくからだ。
そこで、無理な借入れを起こしたり、税金や社会保険を遅延させたり、買掛金の先延ばしなどの方法で会社の延命をはかると、最終的に破綻したときにはそれらの努力のすべてがマイナスに作用してくるのである。
・税金や社会保険の優先債権を残したために、会社の財産(売掛金や金融機関の口座)が差押さえられた。
・無理な借入れのために、連帯保証人や抵当権を増やした。
・買掛先をだましたことになり、人間関係を壊した。
・社員に給与などが払えなくなり、恨みをかった。
などなど。

では、いつ事業停止の判断をするのか。

倒産が避けられない方の相談でも、二つの様相がある。
先に、
◆【切迫倒産】最後までがんばるタイプ(希望の少ない倒産)
◆【予知倒産】少し早めに諦めるタイプ(可能性の残る倒産)
と述べた。

◆【切迫倒産】最後までがんばるタイプ(希望の少ない倒産)、どうにもならないぎりぎりまで続けてきて倒産以外の道がない場合だ。
◆【予知倒産】少し早めに諦めるタイプ(可能性の残る倒産)、まだ続けられるが事業としてはその先にほとんど希望がない場合だ。

【切迫倒産】の典型は以下のような様相を見せることが多い。
・当月(もしくは翌月)の資金繰りがつかない。
・すでに債務をいくつも滞らせている。
・税金、社会保険の未払いがある。
・給与などの労働債権も遅配や未払いがある。
・買掛金(振出手形を含む)も未払いがある。
・一般管理費なども未払いがある.
・事業の将来性はない。

【予知倒産】の典型にはAに至る少し前の段階の様相を見せるものだ。
・三~六か月後の資金繰りに不安がある。
・ひとつ程度の債務が発生している。
税金、社会保険、労働債権(給与など)、買掛金、未払い金、などのうち。
・事業の将来性に希望は持てない。

可能であれば、倒産ではなく債務の全くない[清算]の段階で事業停止することが望ましいのは言うまでもない。
それは、借入債務もなく、買掛債務もない状態で、一切の被害者も出さないことだが、現実的には相当に難しい。

であれば、被害者を最小限にすることだ。その範囲のガイドラインは以下である。
・税金は、会社の分だけ残す。社員個人の分は残さない。
・社会保険は最小限にする。
・借入れ、リースは、代表者の保証の範囲にとどめる。
・買掛けは、連鎖倒産の起こりえない会社だけを残す。
・光熱水費などの一般管理費は残す。

このようにすれば、倒産に際して代表者のダメージは相当少なくすることができるだろう。

法人の破産(それが少額管財であっても)を地方裁判所に申し出て、認められる条件としては、債務超過であればよい。債務超過でなければ、それは清算処理をしなさい、といわれて追い返されるだけだ。
このことも、会社に資金が残っていると地裁は倒産処理に応じない、と誤解されている方は多いものだが、決してそのようなことはない。

わたしが申し上げたいのは、倒産処理は早ければ早いほうがいい、ということだ。
そうすれば、 事務局のblogで砂須賀野さんも「あと半年早ければ」で書いているように
・第二会社で事業の一部継続が可能になる。
・金融機関に返済する分を他にまわせる。
・連鎖倒産しそうな外注や下請先に支払える。
・社員に解雇手当の一か月分が支給できる。
・倒産後の生活費が確保できる。
などの処置も可能になるというものだ。

当事務所の相談に来られる方を見ていると、せめて半年の猶予を持って相談にきていただければ、上のいくつかは実現できたのに、と思わせられることは多かったのだ。