※ このエントリーは、2013年7月16日に作成したものだが、より正確を期すために 2016年3月4日に修正した。

会社が倒産してその代表取締役だった社長が個人破産(自己破産)をしたら、もう二度と社長になれないと思っている人は多い。

決してそのようなことない。

2005年に改正された新会社法の前までは、破産すると取締役の欠格事由になり、免責にならなければ代表取締役はおろか単なる取締役にもなれなかった。
この改正では、そのようなこともなくなった。

新会社法では、破産の申し立てから復権するまで(免責まで)の間の欠格事由がなくなったので、免責による復権を得ていない者でも、取締役(もちろん代表取締役にも)となることができるようになったのである。

しかし、取締役が自己破産をした場合には、民法の規定により取締役との委任契約は終了し、当該取締役は自動的に退任することになるというシバリは残っているので、破産してしまうとそのまま取締役(もちろん代表取締役も)で居続けることはできない。

ただし改めて選任することは妨げられていないのである。
つまり自動的に退任せざるを得なくなったとしても、その後でまた改めて選任すればまた取締役になれるのである。

倒産会社以外の会社の代表取締役や取締役だった場合は、退任した旨と選任した旨の役員変更の商業登記はしなければならないという、手続き上の制約は依然残っているのだ。
しかし、破産者でも取締役(もちろん代表取締役にも)になれないわけではなくなったことが、この新会社法で認められたのである。
具体的には司法書士に頼めばその手続きはやってくれる。

※ どうかネットにあふれている“古い情報”に惑わされないでいただきたい。
  この改正は2005年(今からもう10年前)なのに、ネットにはその前の古い情報があふれている。
  このことに限らず商法や会社法の運用はよく変わるので、常に最新の情報に接していただきたい。

このことは、倒産前(倒産後でも)に第二会社をつくってその取締役(もちろん代表取締役)になることも、制度上はみとめられたことになるのである。
ただし、そのことが倒産会社の破産手続きの中で不利益を招きかねないことは承知されたい。
このように倒産前に第二会社をつくって事業を移行するような場合は、いくつかのデリケートな問題が絡むので、そのような構想がおありの方は一度当事務所に相談に来られることをお勧めする。
うっかり新会社の代表者になっていて、旧会社の倒産処理に絡んでいてトラブルになるケースが大変多いので、ぜひとも当事務所に相談いただきたい。

余談だがこの新会社法では、会計監査人を置かない小規模零細企業の場合は、代表取締役以外の取締役も監査役も置く必要はなくなったので、きわめて小規模で会社の設立ができるようになったことも、覚えておきたい。