[倒産]とは会社がなくなって事業経営が継続できなくなることであり、その大きな原因は債権者に支払いや返済ができなくなる資金不足にあることは再三述べていることである。

しかし、事業としては営業利益も出ており、ここまま会社も事業もなくなってしまうのはいかにも惜しいというケースは、ままあることだ。
すなわち、財務状態はほぼ倒産状態だが、事業の状態はまだ活きている、と言える状態だ。

そんな時、それらの債権者(金融機関、買掛先、その他未払先)に一定額の債権をカットしていただき、かつその残債を長期の延べ払いにしていただければ会社としては倒産がまぬかれ、事業が継続できる状態を合法的につくり出す処理として、この民事再生法がある。

ここで言う[事業継続]とは、民事再生法の適用を受けて、経営者がそのまま事業を経営できることだ。

経営危機に陥った経営者であれば、だれしも倒産ではなく事業経営の継続を望むものだが、現実的には一勝九敗くらいよりも悪い確率で倒産に傾くものだ(わたしのところに相談にいらっしゃるケースではそのような勝敗率になっている)。では、その差はどこにあるのか。

民事再生法の適用申請にはいくつかのハードルがある。

①適用の申請。これは申立てを受けた裁判所(地方裁判所)が認めるかどうか。現実的には予納金があればほとんど認められることになる。

②次のステップは再生計画が認められるかどうか。先ず裁判所が認めるかどうか。

③債権者が再生計画に賛同するかどうか。債権者の数で1/2、債権金額の1/2の賛同が得られるかどうか。

④再生計画通りの債務の返済が行われるかどうか。

端的に言って、要は[再生計画]が債権者に支持されるかどうかだ。

具体的に述べるとこうだ(以下は再生案に絞って単純化したものなので、抵当権や連帯保証などの複雑な要件は除外したものになっている)。計算は年計。
いままでが、債務5,000万円。売上げが1億円。粗利33%、一般管理費2,500万円、借入返済1,000万円、すなわち月次のマイナスが200万円あったとする。
再生計画は、得意先に信用不安が広がるため、売上げは50%の5千万円に減る。粗利率も25%に落ちる。一般管理費は、1,230万円に絞る。そうすると20万円の営業利益が残る。
これを向後10年にわたって返済する。すなわち200万円(債務5,000万円の4%配当)が返済される再生計画だ。

この計画が、金融機関を含めた51社の債権者の1/2(すなわち26社)以上と、債務金額5,000万円の1/2(これは金融機関三行で達した)以上の賛同が得られるかどうか、だ。
この賛同が得られれば、民事再生が開始される。
先にも述べたが、倒産せずに民事再生法の適用を受けて事業を継続できるキーポイントは、[再生計画]次第となる。

上のスキームでは[10年間で4%の配当]だが、これは[認められなければ(倒産すると)配当はゼロ]という、強烈な″脅し″が後ろに控えている。つまり、債権者に対して4%か0%か、と迫っているのだ。誰しも0%より4%の方がいいので、そちらが選ばれることが多い。
しかし、債務者が債権者に恨まれているような場合は、″4%だったらなくてもいい″という判断を下されることもありえる。
その辺の判断が実に難しい。全ての債権者が再生案を飲むか飲まないかのかのシミュレーションを行って類推するしかない。これは難しいと判断されたら4%を6%にする、などの変更もあり得る。
何回も申し上げるが、ここが倒産か事業継続の最大のキモになるのである。

更なる問題として、抵当権がついているものや連帯保証人があれば(別除権という)、それはこの民事再生にかかわらず実行されるなど、複雑な要因もあるが、ここでは書ききれないので割愛せざるを得ない。

とは言うものの、民事再生が適用されたとしても地裁から任命された再生委員の支配下で債務の返済まで事業を続けなければならないという事実は残る。
進むも地獄、引くも地獄。といわざるを得ない。