※ このエントリーは2012.12.29.に書かれたものだが、最近同じようなことがあったので最近の事例にあわせて2015.4.8.に修正した。

倒産相談の面談時に、個人の破産にあたって[生命保険]に関する質問を受けた。

破産するのは会社経営者のご主人で、質問者はその奥さんだった。ご主人は会社の債務の連帯保証をしており、個人の破産が避けられない状態だった。

「主人の破産が避けられないのですが、生命保険はどうなりますか」
「それは会社がかけている生命保険ですか、それとも個人の生命保険ですか」
「個人の分です、主人の名義で私がかけているものです」
「生命保険は財産ですから、破産すると解約返戻金が20万円以上あれば、それは解約して配当に充てられることになります。解約返戻金が20万円以下ならば、そのまま契約を続けることができます」
「満期が近いので、解約するととても損することになるのですが」
「そうでしたら、契約者貸付を受けるか、解約するしかないでしょう。解約返戻金はどのくらいですか」
「200万円ほどです」
「それでは、180万円以上借り入れて、解約返戻金を20万円以下にしなければなくなります」
「保険会社はそれに応じるでしょうか」
「生命保険によっては80%までしか契約者貸付けが受けられないような規約もありますので、事前に調べてください」
「それで、解約返戻金が20万以上になった場合はどうすればいいのでしょうか」
「その場合は、解約しかないでしょう」
「契約者貸付と解約のどちらがいいのでしょうか」
「それは、あなたの問題です。解約したくなければ契約者貸付でしょうし、破産前により安全確実に現金を手にしたければ解約です。どちらの優先順位が高いか、の問題でしょう」
「保険会社に尋ねたら、契約者貸付はできないといわれたのですが」
「保険会社によっては契約者貸付をよろこばないところがあるようなので、窓口などでは拒否されることがあるようですが、それは保険会社と交渉してください」
「契約者の名義を変更することはできますか」
「名義変更できるかどうかは保険会社の判断ですから、わたしにはわかりかねますが」
「保険会社に聞いたらできるだろうといっていました」
「そうですか。でも、その判断がよかったかどうかはわかりかねますね」
「バレますか」
「破産者の銀行などの通帳のコピーは提出をすることになりますから、自動引き落としの場合はその記録が残っていると思いますので、それでバレてしまう可能性は高いと思います」
「直前にそのようにジタバタすると、詐害行為と言われないでしょうか」
「たしかに直前だと詐害行為として否認されるおそれはあり得ますが、やらなければ間違いなく配当に充てられることになりますよ」
「どうしたらいいでしょう」
「否認される可能性はあり得るのですから、そうなったときには返却する覚悟を持って契約者貸付を受けるか解約することです」
「その返戻金なり解約資金の、使途の説明責任はあるのですか」
「もちろんです。おおよそ、会社につぎ込んだあるいは生活費に費消したという言い訳に終始するようです」
「それで、大丈夫でしょうか」
「地裁に選任された破産管財人にもよりますし、申立て代理人の弁護士がその破産管財人と戦ってくれるかどうかにもよりますね」
「申告しないでいることはできますか」
「個人の破産で破産管財人がつくようなケースでは、郵便物が破産管財人の弁護士の事務所に転送されてしまいますから、それで申告しなかったことがバレて否認されるケースはあるようです」
「直前だと郵便物が来てしまいますね」
「そう思います」
「どうしたらいいでしょうか」
「100%安全確実な方法はありません。リスクを負っても実行しなければ手にすることはできないと考えるべきでしょう。見逃し三振はしないという意思を持ってこの事態に対応することをお勧めします。そうでなければ、きっと後悔することになります」
「…」
「もうひとつ、有能な申立て代理人の弁護士を雇うことです。役立たずの弁護士を雇ったりするとその生命保険は守れなくなる可能性は高くなります」
「…」