※ このエントリーは、「廃業処理はどうするのか」というタイトルと、「会社の終わらせ方」というタイトルで2013年12月に作成したものが重複するところもあったため、より判りやすくするためにタイトルも改め、2014年4月2日に統一的に修正した。さらに判りやすくするために2019年10月10日に四回目の修正をした。

廃業処理はどのようにするか、会社を終わらせるにはどうするか。

事業体(法人化してある会社でも法人化していない個人事業でも。以下は会社と記述する)の決算内容(財務内容が債務超過かどうか)によって、その処理方法は大きく変わる

【債務超過かどうか、の見分け方】

決算書の[貸借対照表]の、左側にある[資産の部(流動資産と固定資産)]にある項目をすべて現金化した金額が、右側にある[負債の部(流動負債と固定負債)]より多ければ、[債務超過がない]といえるし、その金額がマイナスになると[債務超過がある]となる。

このポイントの難しいところは、固定資産の項目が換金しても決算書の数字以下になることがほとんどだ、ということだ。
例を挙げると、買ったばかりのセルシオがあれば[車両運搬具]として[600万円]ほどになるだろうが、会社に名義変更したセルシオは、まったく乗っていなくても売却すれば[300~400万円]にしかならない。
ここで、決算書の数字との開きが[200から300万円]発生してしまう。
会社の廃業を考える場合には、この決算書の資産を現金化した場合の金額が重要となることを忘れないでいただきたい。

【債務超過がない場合】

決算状態が、債務超過になっていなければ、会社を終わらせても債権者(被害者)を出すことはないのだから、
会社を[清算]という形で事業を終結させればよい。
会社の契約をすべて解除し、会社の財産をすべて換金し債務に充当し、残った財産は経営者の所得とすればよい。
税理士に頼んで、処理するだけのことだ。
債務超過がないと安心して清算処理をしようとしたが、その過程で債務超過が発見され、なくなく倒産処理になるケースがよくあるので、注意されたい。

【債務超過がある場合】

しかし、多くの会社は債務超過になっているので、この場合の事業終結(廃業処理)はちょっと面倒になることが多い。
債務というのは、
・給与や退職金
・借入金
・買掛金
・未払金
・預かり金など
で、会社の債務が会社の財産を上まわっている場合がこの債務超過である。
この場合は、会社が事業を停止するとマイナスが出てしまうので、債権者が発生してしまう。
債務超過でないと思ってもいざ会社の廃業処理に入ると実は債務超過になっているという場合も多い。
さらに、会社を廃業する場合には会社のなした契約のすべてを解約(破棄)させなければならい。
・雇用契約の解消

・借入れ(融資)契約の解除
・(事業所などの)賃貸契約の解消
・リースやローンの契約の解除
・その他
会社のなした契約はたいへん多いものだ。そしてそのほとんどが債権者になっているという問題も大きい。
そうなると会社の廃業処理は、[清算]ではなく[倒産]ということになってしまうのだ。

これら債権を持った債権者が、債権放棄をしてくれれば問題はないのだが、現実的になかなかそうはいかないものだ。
わたしが見たケースでは、債権の減額に応じる債権者は長年取引してきた買掛先ではまれにあり得るが、未払い先や預かり先は応じないことがほとんどだ。
少なくとも、借入先の金融機関はまったく債権放棄には応じない。一円たりといえども債権放棄には応じないのが金融機関だ。
金融債務の場合、代表者の不動産などが(根)抵当権設定されていたり、代表者などの連帯保証をとられていることが多い。その場合には会社の債務がそっくり代表者などにのしかかってくることになり、連鎖的な代表者個人としても[個人の破産]が避けられなくなる場合がほとんどだ。
しかし、そのような(根)抵当権や連帯保証がなければ、会社の債務が代表者などにかかることはないので、代表者が会社の債務まで肩代わりする義務はないし、連鎖的な個人の自己破産にならないケースもまれにはある。

債務超過に陥った会社の廃業処理は、[倒産]処理にならざるを得ないことがほとんどなのだ。
さらには、代表者が会社の債務の連帯保証をしていれば、代表者の個人破産も避けられなくなることがほとんどなのだ。

【倒産処理の方法】

[倒産処理]は地方裁判所に申立てすることになり、その申立ては個人ではできないもので、申立て代理人は[弁護士]でなければならない。
そこで、弁護士に相談に行くことになるのだが、弁護士にとっては破産申立ては単なる作業であり、おそらくは破産することになる代表者個人のことなどは考えてくれないことがほとんどで、その費用の高さもあり、倒産処理の壁の厚さに衝撃を受けることになる。
当事者が弁護士事務所に駆け込み、びっくりしてセカンドオピニオンを求めてわたしのところに相談に来るケースはたいへんに多い。
『一般的な倒産処理 - 弁護士事務所に駆け込む』
『倒産処理のセカンド・オピニオン』

『役立たずの弁護士が、五人も…』
も参照されたい。

また、切迫度によっては[切迫倒産]か[予知倒産]か、という問題も包含している。
『【切迫倒産】と【予知倒産】 倒産の二つの様相』

この処理は、法的処理による[法人の破産]と、私的処理による[任意整理]がある。
詳しくは、先に書いたブログを参照していただきたい。
倒産処理の種類 
倒産処理の種類 [B-a] 法人の破産。
倒産処理の種類 [B-b] 任意整理。
倒産処理の種類 [B-c] 放置逃亡。