※ このエントリーは2012年12月6日に書かれたものだが、より判りやすくするために2019年1月3日に三度目の修正をした。

小規模零細企業の倒産の場合、経営者は会社の債務(借入、リース、ローン、など)の連帯保証をしていることがほとんどなので、会社が倒産するとその債務責任が連帯保証人である経営者にかかってしまう。
ほとんどの場合、経営者個人の債務も相当あるものだ。
そこで、経営者も個人破産することが一般的だが、果してその必要はあるのだろうか。

もし、その経営者が個人破産しないとどうなるか。

その場合は、個人の債務はもとより、会社の連帯債務から免れることはなく、債権者から弁済を迫られる。
預貯金があれば金融機関に貸付と相殺される(その金融機関に債務があれば)。不動産などの大きな財産があればそれは差押さえを受け、売却(競売など)されることになる。
要するに個人財産はなくなるということだが、生活に必要な動産などが差し押さえられることはない。本来はあり得ることなのだが、わたしは見たことがない。
個人財産がなくなるといっても、〝大きな財産〝だけがなくなるのが現実である。

では、そのままにしておくとどうなるか。

時効までは債務がなくなることはない。会社間の時効の原則は五年だが、いろいろの約束事があって時効は十年と覚えておけばいいだろう。
その間、差し押さえの対象になるような財産を取得し、それが債権者に知られればそれは差し押さえの対象になる。金融機関などはそのために債務者の住民票を定期的に調べて、財産の取得がないかをチェックしている。金融機関はこういうところにコストをかけている。
よって、住民票を移動すると突然内容証明郵便が来たりして、誰かに行動を見張られているようないや~な感じに襲われる。

給与などの定期的な所得があると、これも差し押さえの対象になる。ただ、わたしが見ている限り給与の差し押さえはほとんど起きない。現実的には給与の差し押さえといっても条件があるため、差し押さえの費用対効果を考えると現実的ではないのだ。
しかし、債権者を怒らせたりすると、報復のために給与の差し押さえを受けることはある。給与の差し押さえは、債権回収以上にその債務者の信用失墜に効果があるからだ。勤務している会社に給与の差し押さえの手続きをされたら、その会社とのリレーションは壊れてしまう。その効果を狙われるのだ。債権者にはその権利はある。
時々請求書が届く、内容証明郵便のこともある。しかし債権の執行はしない(できない)。そのようなことが時効まで続くことになる。

老齢者で、もう財産の取得や定期収入のない人は破産するには及ばない、とわたしは考えているし、そのようにアドバイスすることも多い。

時々届く請求書は大きな紙袋にでも入れておけばいい。なまじ読むと不愉快になるだけだからだ。どうしても心配だったら、年に一回くらい弁護士にでも読んでもらえばいい。おそらく「別に何も起こりませんよ」と言われるだけだろう。
年金をもらうような年齢になってからの破産はそれだけで重圧を感じるものだ。破産しないほうが余計なプレスを感じないで生きていけると判断されるならば、破産はしないほうがいい、とわたしは思う。

まだ若くて財産の取得の可能性もあり、給与などの定期的な所得を得る可能性のある人は個人の破産をしておいたほうがいいだろう。
債務が一切なくなっていたほうが、これからの人生は生きていきやすい。
そうでなければ、いつも何か起こるんじゃないか、とひやひやしていなければならない。それよりも、そういうことが一切起こらないと保証されていたほうが生きやすい、とわたしは思っている。

しかし、そのような年齢に達していなくてもタフな方ならば破産しないという選択もあり得る。ただし、相当なプレッシャーの中で生きていかなければならないので、わたしはあまりお勧めすることはない。