※ このエントリーは、2012年12月4日に作成したものだが、より判りやすくするために2014年6月23日に修正した。

倒産処理(会社の破綻処理)を、少ない費用で完遂する方法はないか、という質問をよく受ける。
以下、わたしは決して推奨するわけではないが、考え得る方法を探してみる。
この場合どこをもって〝完遂〝とするか、はなかなか難しい。

債権者(被害者)を出して事業を終わらせる(終わらさざるを得ない)ことが倒産なのだから、それらの債権者の了承、同意が得られる(いやいやであっても…)ことを、完遂の条件となると位置づける。

債権者の了承、同意をも無視するならば、会社は事業を止めて決算もしなければ、会社の登記も抹消されてしまうので、会社そのものがなくなってしまうのだから、放置すればそれで済むとも言えるのだが、やはりこれは残るもの(引きずるもの)が多いので、わたしは勧められない。絶対に勧めることができない。

【参考】
[放置逃亡]
[放置逃亡が、なくならない]
[放置逃亡するとどうなるか]

法的処理(法人の破産)は、原則として予納金がかかるので排除せざるを得ない。
であれば、私的処理(任意整理)にならざるを得ない。
一切の費用を排除するならば、代理人の弁護士も雇えなくなる。
もっとも安価に済ませるならば、倒産会社の経営者が債権者を一堂に会して説明会(倒産説明会)を行うことだろう(倒産会社の経営者が債権者の会社を一社一社訪ねて説明する方法も考えられるが、その場合は債権者の総意を債権者同士が確認することが困難になる)。

ここで債権者の了承、同意が得られれば、倒産処理(会社の破綻処理)は完遂することができる、と言えよう。

倒産説明会では以下のことを説明する。
・事業が継続できなくなった事情。
・会社の財務内容(破綻時の会社の試算表)。
 ・会社の債務から会社の財産を引いて、最終債務金額を明らかにする。
・配当(金額と比率)。
 ・配当できる金額があれば、その金額と比率を説明する。
・社長の処遇。
 ・社長の債務(連帯保証関係)の説明、破産をするかどうかを説明する。
・質疑に対応する。
 ・どのような質問にも答えなければならない。

以下の資料を用意しておくといいだろう。
・決算報告書。
・直前の試算表。
・債務一覧。
・など。

最終的な了承事項は以下のようになる。
・事業継続ができなくなったこと。
・約束どおりの支払いや返済ができなくなったこと。
・会社の財産を整理した結果、配当はこうなる(あるいは配当はできなくなる)。
・(配当できるならば)支払い方法はこうなる。

この事項を記して、債権者の署名捺印を得る。

この方法で債権者の了承、同意が得られれば倒産処理は完遂できたと言えるだろう。
これが可能ならば、主だった出費は説明会の会場費だけで済む。
しかし、言うまでもないことだが、了承、同意が得られる保証はまったくない。
だいたいが、この方法があり得るのは倒産会社の経営者と債権者との信頼関係が相当高くなければできない相談だろう。
倒産会社の代表者は当事者能力がなくなった者であり、その者がこうした機会を持つことに債権者は同意するだろうか。
この処理方法は[任意整理]のひとつの変形といえよう。

債権者の同意が得られるようにするために代理人の弁護士が有効なのだから、弁護士の同席が望ましいとわたしは考える。
その方法は一般的な[任意整理]の方法である。

さらにニュートラルな破産管財人が関与する方法が[法人の破産]になるのは言うまでもない。

改めて読み返すと、当事者(倒産社長)ひとりで行うのは不可能ではなさそうだが、そのプレッシャーを考えると現実的とは到底思えない方法になっている。