①倒産の実態
根抵当設定の自宅不動産はどうなるか
2013年8月10日 ①倒産の実態
倒産に際して、根抵当権設定を行っていた自宅不動産はどのようになるか。
【設定】
自宅不動産は住宅ローン(3,500万円の根抵当権)が1,000万円残っている。
会社が経営者の自宅不動産に根抵当権(設定額は5,000万円)を設定し会社が取引している金融機関から3,000万円の融資を受けた。会社の融資残高は2,500万円。
金融機関からの融資は一行だけでその他の借り入れはなかった。
自宅不動産の所有者(代表者)は上の二つに個人として連帯保証をしていた。
この不動産の現在の相場価格は2,500万円ほどだが、近隣では似たような物件が相場価格前後で売買されている。
【(根)抵当権の実行】
(根)抵
倒産処理の実際例。① ある根抵当権設定物件の行方
2013年3月14日 ①倒産の実態
※ 以下は実例だが、同様の事例が同じような経緯を経ることは必ずしもない(ほとんど起こらない)、レアケースであると受け止めていただきたい。
地方銀行に根抵当権設定を行って破綻した事業経営者があった。
根抵当権設定不動産は東京都内の四階建ての鉄筋コンクリートのマンションの土地と建物(築二十年以上)。その一階と二階を自宅と事業所に使用していたが、三階と四階は貸していた。
この不動産に根抵当権を設定して受けていた融資は、地方銀行のプロパー資金で残債は1億5,000万円ほどだった。
この経営者の事業は破綻して、法人の破産と個人の破産を東京地裁に申し立てた。
小額管財対象で、予納金は20万円ほどだった。
根抵当権の権利者で
倒産の実態○M&A詐欺が横行しはじめているらしい
2013年3月8日 ①倒産の実態
先日、不思議な相談があった。
ある会社が、その会社を買い取りたいのだが、売る気はあるかという打診があったというのだ。地方都市で羽振りのいい会社が東京に拠点を設けたい、というのが理由だった。この件は、職種など詳細は記せない。
仲介者は紹介を受けた経営コンサルタントだった。
その会社はここ三期利益が出せずに、粉飾決算をしてかろうじて利益を出しているように見せかけている。
このような、利益が出せずかつ会社に資産がない会社を査定すると、売値は出ないものだ。つまり、只。売りたくても値段のつかない会社。
わたしが、迷うことなく売却することだ、と勧めたことは言うまでもない。
なぜならば、この会社を終わらせるためには、会社に財
倒産と社会保険の未納について
2013年1月25日 ①倒産の実態
会社が倒産すると、社員の社会保険料は会社の預かり金になっていたはずだからどうしても未納になってしまう。
では、その未納はどのように処理されるのか。
[雇用保険]の場合は、半年以上加入手続きがされていて、天引きされていれば、事業主が納付していなくても(滞納していても)影響はなく、失業保険などは直ぐに支給されるようである。
ただし、所轄機関の公共職業安定所(ハローワーク)に説明しなければならなくなる可能性もあるから、控除されている給与明細を保管しておくことが必要になる。
[厚生年金]も同様で、事業主が納付していなくても(滞納していても)影響はなく、加入期間に[未納期間]は発生しないようである。
しかし、年金の支給までには時間
倒産と社員の税金
2013年1月22日 ①倒産の実態
会社が倒産した場合の社員の税金はどうなるか。
①所得税
会社の会計処理としては、社員の[所得税]は社員の給与から(暫定的な金額が)差引かれ、一時会社の預かり金として処理され、会社が納付することになっている。最終的な年間所得税額は、[年末調整]で調整されるの一般的な処理である。
だが、倒産するとその直前の数か月分が納付されずに会社に預かられたままになってしまう場合がほとんどである。
こうした場合、その未納部分は預かり金処理した会社に納付義務があるのだが、会社はなくなってしまうので納付できない。
法人の破産処理をした場合で、売掛金を回収したりして、配当原資ができた場合には優先債権なので納付(というか、徴収)されることもあり得
倒産しないという選択
2013年1月13日 ①倒産の実態
倒産状態にあっても、倒産しないという方法を選ぶことができるか。
原理的にはできる。
事業としての採算性が維持できていればという前提は欠かせないが、債務を支払わない(返済しない)で、事業を続ける方法である。
では、債務を支払わないとどのようなことが起こるか。
金融機関からの借り入れの場合は、[金銭消費貸借契約書]という契約によって債務責任がはっきり決められている。
不動産などに抵当権の設定があれば、その抵当権が実行される(競売に付される)。連帯保証人が設定されていれば連帯保証人が請求される。その連帯保証人に不動産があれば差し押さえられるだろうし、給与などの定期収入があればそれも差し押さえられる可能性がある。しかしそれらが
ある倒産への道程(プロセス)
2012年12月9日 ①倒産の実態
その依頼人がわたしの事務所を訪れたのは、一年ぶりだった。
一年前に訪れた時、わたしは直ちに破綻処理が必要だと申し上げたのに、そのときの経営者の意思は、〝もう少しがんばってみる〝というものになった。
その一年前と今回訪れたときとの違いは以下。
【一年前】 【今回】
売上金額 14,400万円 13,200万円
(月次) 1,200万円 1,100万円
売上総利益 4,800万円 4,200万円
(月次) 400万円 350万円
営業利益 -2,160万円 -3,000万円
(月次) -180
[銀行取引停止処分]なんて、ない
2012年11月30日 ①倒産の実態
※ 以下、[銀行]という用語は一般的な預金を預かる金融機関(信用金庫、信用組合、農協など)を指す。
不渡り手形を出したりすると、[銀行取引停止処分]になるとされているが、実はそんなことはない。
正確には[当座預金口座取引停止処分]になるにすぎない。
本来はないはずの[銀行取引停止処分]という言葉が流通している理由は、銀行にとって都合がいいからだろう。
銀行取引停止処分と言う言葉から、当座預金口座だけでなく普通預金口座も停止されるように思えるが、契約上は普通預金口座が閉鎖されることはない(当事者が了解すれば閉鎖されることはあり得るが)。
当座預金口座は閉鎖される。
すなわち、その段階で振り出している約束手形や小